パラリンピック期間中、大型バスはひっきりなしに出入りしていた(右手は選手村)
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「共生社会」と「希少価値」

 帰国ピークが過ぎた7日にはカメラを持つ人も減ったが、それでも辛抱強くシャッターチャンスを待つ人がいた。

「バスの往来はぐっと減りましたね。私はバリアフリーのバスのほか、いまでは走っていない旧式のバスを狙ってきました。全国からパラリンピックのためにかき集められているんです。特に乗降口に階段のないリフト式のバリアフリー車体は希少価値がある。持っている会社はそんなに多くないから」(都内の30代男性)

 ちなみにバスマニアはパラリンピックに関心がないわけではない。前出の千葉県の男性は「車いすバスケの迫力に驚いた」と興奮。別のマニアは「マラソンには感動した」と話し、バスが好きなこととパラリンピックへの関心は共存している。

 東京2020組織委員会によると、パラリンピックの選手や関係者の輸送用に確保されたのは、車いす対応のリフト付き観光バス約270台と、車いすのまま乗車できて座席がスライドして乗り移れる小型ミニバン150台、ほかに低床型路線バスなど。

 国際パラリンピック委員会(IPC)がパラスポーツを通じて目指す共生社会の実現には、少なくともバスマニアがバリアフリー車体を「珍しい」と感じる現状を変えていかなければならない。

◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)

〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する

※誤字を修正しました(9月8日19:30更新)