ようやく夫という存在からから解放された

 そして後日、筆者は離婚、親権、養育費、さらに連帯保証を盛り込んだ公正証書を作成しました。(文例は以下のとおり)。3名(夫、祥子さん、義父)の署名は無事に終わり、離婚届を提出し、ようやく祥子さんは夫という存在からから解放されたのです。

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■公正証書の文例

離婚給付契約公正証書(案)

**信也(以下、甲という)と**祥子(以下、乙という)は離婚について以下のとおり、合意した。

第1条 甲と乙は協議離婚することに合意した。

第2条 甲乙間の未成年の子・**麗美(平成23年9月9日生まれ、以下、丙という)の親権者を乙とする。

第3条 甲乙間の未成年の子・**玲央(平成25年1月10日生まれ、以下、丁という)の親権者を乙とする。

第4条 甲は乙に対し丙の養育費として令和3年9月から丙が満22歳に達する翌年の3月まで毎月25日に金65,000円を次に掲げる丙名義の金融機関の口座へ振込入金にて支払う。

<振込口座>
*****銀行 *****支店 普通預金 *****
**麗美(**レミ)

第5条 甲は乙に対し丁の養育費として令和3年9月から丁が満22歳に達する年の3月まで毎月25日に金65,000円を第4条に掲げる金融機関の口座へ振込入金にて支払う。

第6条 戊は第4,5条の債務について保証し、甲が第4,5条の弁済条件を履行しない場合は、甲と連帯して履行の責任を負うこととする。

第7条 甲・戊は本書の金銭債務の支払いが遅延した場合は強制執行を受けることを承諾した。


令和3年8月31日
甲 横浜市神奈川区**************
会社員 **信也

乙 横浜市神奈川区**************
無職 **祥子

戊 川崎市幸区**************
無職 **光男

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 今まで筆者が養育費に保証人をつけたケースを扱った中で、保証人を引き受けてくれたのは夫の両親もしくは兄弟姉妹です。もともと祖父や祖母、おじ・おばには孫やおい・めいを扶養する義務はありません。夫が人様に迷惑をかけても、すでに立派な大人なのだから、その責任を親戚が負うのは筋違いですが、夫の悪態があまりにもひどい場合は別で、両親や兄弟姉妹が見るに見かねて手を貸してくれることもあります。

 どうしても夫の言葉が信用できず、書面を交わしても、まだ不安が残る場合、試しに夫の親戚を頼ってみるのも1つの手です。


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
1980年12月24日生まれ。國學院大學法学部卒。行政書士、ファイナンシャルプランナー。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化して、行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界で最大規模に成長させる。新聞やウェブメディアで執筆多数。著書に『男の離婚ケイカク クソ嫁からは逃げたもん勝ち なる早で! ! ! ! ! 慰謝料・親権・養育費・財産分与・不倫・調停』(主婦と生活社)など。
公式サイト http://www.tuyuki-office.jp/