Uber 整形を実現したい!

 興味の矛先は、がん治療だけでなく、コロナ禍の美容整形業界にも及ぶ。あるアイデアが浮かんでいると喜々として話す。

「コロナ禍は、新しいビジネスチャンスの機会でもあると思うの。僕がいま考えているのが、Uber EatsならぬUber 整形! 往診や悩みを聞いて提案するだけだったら、出張整形が可能。

 ボトックスとかヒアルロン酸を打つだけならUberみたいな感覚でできると思うんだけどなぁ。スマホに、あと何分で到着しますと表示されて、『お待ち!』って伺うの(笑)」

 このアイデアも特許を取らないと! ころころと笑いながらおどける姿を見ると、“かっちゃん”の愛称で親しまれている理由がよくわかる。そうかと思えば、「常に新しいアイデアを生み出していかないと企業って生きていくことができないからね」とあらたまる。

高須クリニック院長、高須克弥さん(76)撮影/吉岡竜紀
高須クリニック院長、高須克弥さん(76)撮影/吉岡竜紀
【写真】がん治療中でも仕事をする高須院長!

Uber 整形みたいなアイデアは、僕なんかより若い世代から出てこなきゃいけない。でも、息子たちは、僕よりも全然頭が固いし、孫たちも地道なんだよね。若い子たちに話を聞くと、『食べていくために勉強をする』って言うの。

 それはそれで大切なことだろうけど、“食べていく”ことが究極の目標になったら成長はない。勉強をするのは、技術を身につけて、信用を生み出すため。僕はかつて100億円の借金があったけど、技術を身につけていたから返済できた。そこに信用が加われば、鬼に金棒

 誰もが知るスーパー美容整形外科医師。だが、本人は「いろいろなことをやりたいし、やってみたけど、いちばん自分に向いていたのが美容整形外科医師だっただけ」と笑う。

 たしかに、高須院長のTwitterのプロフィールには、篤志家、教育者、売れないものかき─といった肩書が並び、最後に申し訳なさそうに「医者もできる」と書かれている。そして、その中ほどには「全身癌」とも。

 人生が物語だとしたら、こんなにも豪快かつ珍奇なエピソードにあふれた人はそうそういない。全裸監督ならぬ全身整形─。「Netflixでドラマ化、あるんじゃないですか?」、そう尋ねると、「西原(理恵子)は絶対狙ってる!」と事実婚の関係にあるパートナーの名を口にして破顔する。

朝ドラかNetflixかわからないけど、彼女しか原作が作れないもん。でも、『原作者の取り分は安い!』って、今からぼやいている(笑)。僕には何の利益もないけどさ、僕が残せる最後の遺産だと思うから、西原には書いてほしいな。全裸監督より僕のほうがスケールが大きいと思わない!?