(3)お金にまつわること

財産がいくらあるかは書き残す必要なし!

 お金については必要最小限の情報をなるべく手間をかけずに残すことを心がける。

「財産目録のように、預金残高や持っている株の評価額まで書く人もいますが、そんな個人情報を公開する必要はありません。大切なのは“どこと取引があるか”を家族に伝えること。取引先と口座番号などがわかればよいのです」

 不動産など、すでに家族と共有しているものは省いてよし。逆に、定期的な支払いは記帳しても取引先がわかりにくいため、解約が必要なものは連絡先を残す。

「ノートに書くのが大変なら、“口座引き落とし(またはカード払いなど)の定期購入のサプリ”といったメモを契約書や送り状などに貼って、“解約が必要なもの情報”として袋にまとめておくのがおすすめです」

 また、保険証券や有効な契約書(賃貸借契約など。権利証などの重要書類は家族に口頭で伝える)は、保管先がわかれば大丈夫。なお、エンディングノート自体には法的効力がないので、財産の分け方は書かず、遺言書の作成を。

〜残すべきことと書き方のポイント〜

●取引先銀行の情報
 銀行名と支店名、口座名、口座番号のほか、利用目的や引き落とし情報もつけ加えるとよい

●クレジットカード
 カード会社とカード番号のみでOK。カード会社の連絡先と年会費、利用目的などもあると役立つ

●不動産
 住所と契約書(権利証を除く)の保管場所は必須。自宅はわかるので、家族が知らないものだけでよい。賃貸借している場合は契約内容と相手の連絡先も

●株式、投資信託などの有価証券
 取引している証券会社と支店名、口座番号がわかると相続時の対処がラク。株数や評価額は不要

●ローン・借入金、貸しているお金など
 取引先の連絡先を残す。保証人になっている場合はその旨も。書きたくない場合は、契約書類や明細の保管場所のみを書くか誰かに伝えておく

●生命保険、損害保険など
 保険会社と保険証券番号、保険の種類を。「葬儀費用に」など加入目的も書いておくとよい。面倒なら保険証券などの保管場所を書いておく

●口座引き落とし
 引き落とし先の銀行やクレジットカードの情報の備考として書くか、取引先との契約書や購入品の送り状などを袋にまとめておく

遺言書の有無
 有無がはっきりしない場合、遺言書を探すこととなり手間に。遺言書の有無と保管場所をあえて書き残さない場合は、誰かに伝えておくこと

〜書いてはいけない!〜

●通帳残高
 書き残す目的は取引先を明確化すること。銀行名と支店名、口座名、口座番号などのみで、財産がどれくらいあるかは書かない

通帳、印鑑の保管場所
 セキュリティー的に絶対ダメ。口頭で家族に伝えておくこと。エンディングノートの内容は第三者が見てもいいものに

絶対に残したい!!デジタル遺産情報

 昨今はネット銀行やWEB通帳、ネットショッピングなどのWEB取引利用が増え、インターネットのサイトを開かなければ、銀行の預金額や明細すら確認できないことも少なくない。ネット利用や電子マネーなどの取引があれば、必ずわかるようにしておきたい。

「本人が書き残さなければ、どこと取引があるか家族が調べるのは大変。WEB取引はIDやパスワードといった本人しか知らない情報も必要だからです。また、電子マネーに数万円も残高がある場合も。銀行だけでなく、電子マネーの利用やよく使っているショッピングサイトもわかるようにしておきましょう。

 “ポイントが貯まっているよ” “オートチャージを止めてね”などのひと言をつけ加えておくと、親切です」

 インターネットの利用先は、URLとアカウントやID、パスワードと一緒に一覧にまとめておくこと。使用していたパソコンやスマホなどが開けないと困るため、パソコンやスマホ自体のロック解除の方法も残す。
 

〜インターネットの利用先一覧の記入例〜

利用先/URL/アカウントやID/パスワード/備考

・〇△銀行/〇△bank.co.jp/5678/6***n***/メインの口座として利用。WEBパスワードは別途記載

・Mクレジット/mcard.com/abc@kkk.co.jp/9***y***/WEB明細で確認。〇△銀行から毎月30日に引き落とし

・Aサプリ/asapuri.co.jp/abc@kkk.co.jp/7***y***/2か月ごとの定期購入。要解約。Mクレジットで決済

 パスワードはヒントを記入。別のメモに「パスワード」とは書かず、一覧表に書いたパスワードのヒントと照合できるよう、記号の羅列だけを並べて書く。メモの保管場所は口頭で伝える 

出典:明石久美さん著書『読んで使える あなたのエンディングノート』より