トラブルを避けるための記入ポイント

(1)「自分」や「自宅まわり」のちょっとしたことは家族にお役立ち

●マンション・アパートの場合

 住居の賃貸契約書類の保管場所とあわせて、郵便ポストや宅配ボックスのロック解除の方法、駐車場や駐輪場の契約の有無も記載。「ポストに手紙があるのに、ロックが解除できず確認できないということを防げます」

●分譲住宅の場合

 管理組合の連絡先だけでなく、管理費や修繕積立金など、維持費として必要な経費については、金額だけでなく、いつ、どのように支払っているかわかるように。住人が参加する清掃の当番などもわかるとよい

●外部契約をしているもの

 レンタル菜園、レンタルボックス、貸金庫、最寄り駅の駐輪場の利用の有無など。契約書があればまとめておき、保管場所を書いておく。「住居以外の場所にあるものは、同居していない限り、把握しづらいです」

●本籍地住所と筆頭者名

 現在から出生時までの本籍地住所と筆頭者名がわかると、戸籍謄本取得時に役立つ。「相続手続きでは故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要です。市区町村まででもよいのでわかる範囲で書いておきましょう」

●ペット

 予防接種の履歴やかかりつけ医、食べ物の好き嫌いといった世話のポイントなど。「一緒に世話をしている同居人など、すでに引き継ぐ人が決まっている場合はその人に伝えておくだけでOKです」

●趣味・嗜好
 
 食べ物、味つけ、香り、色、音楽、場所などの好き嫌いや趣味に加え、最後に食べたい・行きたい場所なども。「家族や介護者に自分の好きな状態をつくってもらいやすくなる。意思表示ができなくなったとき役立ちます」

(2)書いて残すより、生きているうちに配慮すべきことも

●介護

「介護は自分でできないものだから、基本的にすべて“要望”になります。突然、指名された人は戸惑ってしまいます。誰にどこでお世話をしてほしいといった思いがあるなら、元気なときに話し合っておくのがおすすめです」

●形見分け

「もらった側は迷惑になることも。また、もらえなかった人との間でトラブルを生むことも少なくありません。譲りたい物があれば、生前にそっと譲る。そのほかは、残された人でご自由に、というほうがよいと思います」

●家族への思い

 エンディングノートは、生前に見られることもあるので、メッセージを残すのはあまりそぐわない。「手紙にして死後に見つかるようにしておく、という手もありますが、感謝の気持ちなどは直接伝えたほうが家族もきっとうれしいはずです」

 お話を伺ったのは……明石久美さん ●相続終活コンサルタント、セミナー講師。相続専門の行政書士として、遺言書作成、相続手続きなどを主に行う。著書に『読んで使える あなたのエンディングノート』(水王舎)

 累計10万部の人気ノートが、令和版にアップデート。40年ぶりの相続法の改正やデジタル遺産、SNSなどにも対応。『私のエンディングノート(新装版)』(1980円/主婦と生活社)