「ポテサラ」「唐揚げ」も炎上

 このような話は、焼きそばだけじゃない。これまでも似たような話が話題になることはあった。ここ最近では、「ポテサラ」「唐揚げ」が炎上したのも記憶に新しい。

「ポテサラ」は、とある幼児連れの女性が惣菜コーナーで近くにいた男性から「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われていたのを目撃したというもの。SNSで発信されたこのツイートは瞬く間に拡散、炎上した。

 一方、「唐揚げ」は、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)の街頭インタビューで、手抜き料理だと思う料理に男性が唐揚げを挙げたことが発端。その男性にとって唐揚げは「揚げるだけ」で「ジャンクフードだから手抜き」らしい。こちらも大きな波紋を呼ぶこととなった。ポテサラにしろ、唐揚げにしろ、作ったことのある人ならわかるはずだが、どちらも手間も時間もかかる料理である。

 芸能界ではタレントの熊田曜子が以前、夫に料理を食べてもらえず、「朝起きて一番にする家事が一口も食べてもらえなかったご飯の処理。食べるって言ったのに。このパターンもう100回は経験してるけどかなりのダメージ」とバツをつけた料理の写真をSNSにアップしたことがあった。これだけが原因とは言えないが、現在、夫婦離婚危機に陥っている。

 料理に手間がかかるか、かからないかという問題ではなく、<(妻が・夫が)作って当たり前>という認識が、もう時代遅れなのだろう。

 今回の焼きそばの件は、また新たな火種となったわけだが、そもそも冒頭の“焼きそば離婚”は成立するのだろうかーー。

「夕飯が焼きそばだけだったということは、法律上の離婚原因にはなりません」

 そう答えるのは離婚問題に詳しい堀井亜生弁護士。逆に、夕飯に焼きそばだけを出したことを夫から責められた妻が、それのみを法律上の離婚原因とすることも難しいという。

「焼きそばの件が一事情で、ほかにも“夫が家事全般にとても厳しい”などの事情が認められれば、離婚原因になる可能性はあります。

 もっとも、この男性と元妻の間には、焼きそばの件以外にも価値観が合わないことが多々あった可能性があります。だからこそ、元妻の側も結婚生活を続けることはできないと考えて、離婚の合意に至ったのだと思われます」(以下、堀井先生)

 しかし、食事は毎日のこと。“焼きそばだけ”問題は大げさかもしれないが、食事や料理の内容が原因で離婚する夫婦はいるものなのだろうか。

離婚の相談の際に、スーパーの惣菜ばかり、コンビニ弁当ばかりといった妻の食事に対する不満を話す男性や、夫が自分の出したご飯を食べてくれないといった不満を話す女性は多いです。

 以前、美容意識が高い妻がオーガニックやマクロビにこだわって食費が非常に高くなり、これが原因のひとつになって離婚になったというケースがありました」

 夫婦であれば、何かしら不満は出てくるものだが、相手に自身の価値観を押し付けるのはいくら夫婦間とはいえ、避けたいものである。

 新たに誕生した「焼きそば離婚」という衝撃ワード。SNSでは“焼きそばだけの夕飯はありか・なしか”論争もーー。その波紋は、まだまだ広がりそうだ。