市川海老蔵がキングコング・西野亮廣とタッグを組む。西野が手がけた絵本『えんとつ町のプペル』を『プペル~天明の護美人間~』として歌舞伎化、2022年1月に新橋演舞場で上演することが発表されたのだ。

 絵本は発行部数累計70万部を突破し、2020年にアニメ化されて興行収入20億円を記録。他にも関連ビジネスが展開され、今年10月22日から31日までのハロウィン期間には映画の再上映も決定。

「えんとつ町を舞台に“ゴミ人間”プペルと少年・ルビッチとの友情を描く物語で、主役のプペルを海老蔵が演じ、ルビッチを長女の麗禾こと“四代目・市川ぼたん”と、長男の堀越勸玄が交互出演。まさに“家族”で臨む舞台になります」(スポーツ氏記者)

 歌舞伎化するにあたって、新たに脚本を練る西野は《主人公の物語と海老蔵親子が背負った物語はあまりにも重なる部分が多すぎて、脚本を書きながらうっかり涙しました》とコメントし、海老蔵もまた子どもたちの出演に《今、この瞬間の2人にしか描けない表現もあるかと思いますので、公演に向けての稽古に励んでいってほしい》と親の顔をのぞかせた。

「親を亡くした設定のルビッチだけに、西野は小林麻央さんを重ねたのでしょう。そして父親として、また師匠として子どもたちを育てる海老蔵。“女人禁制”とされる歌舞伎ですが、10歳の麗禾ちゃんには子役ができるうちに多くの舞台を踏ませたいのだと思います。

 将来、目指すところは寺島しのぶや松たか子のような歌舞伎界出身の女優さん。実際、現代劇で女優デビューも果たします」(前出・スポーツ紙記者)

 10月16日にスタートする『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』(日本テレビ系)に、市川ぼたんとしてドラマ初出演する麗禾。海老蔵のSNSでは顔が伏せられていた彼女だが、女優デビューで晴れて“解禁”となった。

同ドラマのプロデューサーはかつて、麻央ちゃんが芸能界入りするきっかけになった『恋のから騒ぎ』(同系)を題材にしたドラマスペシャルに携わった人物。その娘の麗禾ちゃんとも縁を感じてか、海老蔵さんと親しくするプロデューサーを通じてオファーしたと聞きます。

 麗禾ちゃんの“やりたい”という意思を尊重した海老蔵さんは、女優も進路の一つとしても考えているみたいですね。言い換えれば、かわいい娘の言うことを何でも聞く甘い父親とも言えますが(笑)」(テレビ局制作スタッフ)

海老蔵が感じる歌舞伎界の危機

 将来に備えて日本舞踊に歌舞伎、現代劇とさまざまなジャンルの舞台に送り出してあげたいといった親心だろうが、それにしても『プペル』だ。親子共演であれば本来の歌舞伎の演目でも叶えられたはずだが、アニメを題材として選んだ背景に「“市川宗家”として歌舞伎の将来に危機感を募らせている」とは、歌舞伎事情に詳しい芸能ライター。

「もとより歌舞伎というのは、長らく贔屓筋と中高年者が中心の歌舞伎ファンに支えられてきた節があります。近年では外国人観光客を取り込むことに成功しましたが、コロナでそれも安泰でないことがわかった。やはり新規の若い世代を開拓してリピーターを作らなければ、それこそ勸玄くんが“海老蔵”、“團十郎”を襲名する頃には衰退しているかもしれない。

 そこで海老蔵や市川猿之助くんを中心とした若い世代が目をつけたのが、世界に誇る日本文化である漫画やアニメ。これまで『ワンピース』や『NARUTO』、はたまたジブリの『風の谷のナウシカ』を演目にすることで、今まで歌舞伎を見たことがない世代を呼ぶことができたのです。

 なかには、これを“邪道”とするベテラン勢もいると聞きますが、“伝統は守りつつ、新しいことにどんどんチャレンジする”のが海老蔵の考え。歌舞伎も時代に合わせてアップデートすべきだとは思います」