斎藤ならではのセカンドキャリア

 田中教授の言葉を裏付けるかのように、'07年の『サンデー毎日』で、高校時代の斎藤はこんな構想を語っていた。

《将来は野球以外のことに携わりたいと思っているんです。スポーツ分野を究めるより、野球以外のこともやってみたい。いろんな方面で活躍できる能力をつけたいんです》

 しかし、大学とプロでの長年の野球生活を経て、現在の彼には野球への“恩返し”の気持ちが芽生えているという。

「周囲には“野球に関するビジネスに携わりたい”と話しているそうですよ。解説者やコメンテーターとしてメディアに出るよりも、もっと直接的に野球界に貢献する方法を模索しているようです」(前出・スポーツ紙記者)

 具体的にはどのような取り組みをしていくのか。

野球選手のセカンドキャリアサポートや、ボールパーク経営などを考えているみたいです。ボールパークとは、食事やアトラクションなど多彩なサービスを受けられ、来場者が滞在そのものを楽しめる球場のこと。選手には引退後の安心感を、ファンにはより一層の満足感を提供したいということなんでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)

 斎藤の今後について球団に問い合わせると、

引退後の進路については、本人に一任しております」

 との回答だった。

 自分を育ててくれた野球界に報いるため、努力を続ける斎藤に対し、前出の應武監督もエールを送る。

「斎藤は若いころからたくさん苦労して、たくさんの人に助けてもらったぶん、恩返しの気持ちは人一倍強い。いろいろ選択肢はあると思いますが、“ハンカチ王子”ではなく、1人の人間として社会に貢献する“佑ちゃん”を見守ってやってください」

 これからは、スーツからハンカチを取り出す姿が見られるのかもしれない。