─実はボツになったとか?

いえ! 順調に進んでいますので

─公開時期などの詳細は?

「まだ、そこまでは決まっていないですね。とにかく、映画は進行していますので!」

 そう話すと、そのまま立ち去った。

息子・いしだ壱成にも話を聞いてみると

 あくまでも計画は進んでいると主張した石田。さらに詳しい話を聞くため息子の壱成に尋ねると、製作現場の現在地が見えてきた。

「撮影は、実は全然まだなんです。現場の動きは止まったままなんですけど、少し前に父から“スポンサーがどうにかなった”という説明は受けました。なかなか直接は会えていませんが、たまに電話で映画の話をすると、一応進んではいるようです。今は撮影の一歩手前、台本ができあがりつつあるところかなと思います」

 製作に向けた資金調達は順調な様子。壱成も出演するという話だが、役柄などは決まっているのか。

具体的な配役はまだ聞いていません。主役だとか脇役だとか悪役だとか、細かい話はまだですね。“俺が撮るんだから出てくれよ”みたいな感じで(笑)。オファーは単純にうれしかったですね。“壱成には芝居をしていてほしいから”と言ってくれました。アジアのマーケットも意識しているみたいで、韓国の俳優さんを雇ったなんて話も聞きましたよ」(壱成、以下同)

 直撃に対して内容は「スパイ映画」だと語ったが、いったいどのようなストーリーを思い描いているのか。

コンセプトはもう決まっているみたいなんですが、そのあたりの話になるとギリシャ神話がどうとか、わりと宗教的・哲学的な話も入ってくるようで……。父は昔からかなりの読書家なので、いろんなところから着想を得ているんだと思いますが“最終的にはエンターテイメントにするよ”と言っていました

 なんとも重厚な作品ができあがりそうな雰囲気。ただ、“不倫は文化”発言などプレーボーイとして知られる石田には、ラブストーリーの印象が強いのでは?

そういう世間のイメージを打ち破りたい……という思いがあるかまではわかりませんが、話を聞いていると、それとはだいぶ違ったものだなと感じました。“聖書から題材を拾ってきているんだよ”なんて話も聞きましたね。聖書だったかな? けっこう話が深かったので、そこは曖昧なんですけど(笑)

 かなりこだわっている様子だが、本人は出演せず、あくまで監督に徹するという。そこには、学生時代から抱き続けた長年の夢があった。

「ぼくが生まれたころ、まだ大学生だった父はアメリカに渡っているんですけど、最初は映画監督になりたくて行ったそうです。俳優としての活動は、向こうで演劇学校に入ってから。その後、トレンディードラマなどで活躍したことで間はあきましたけど、実は昔からそういった夢を持っていたみたいです。今回の計画も、少年のような目で楽しそうに話していましたよ」

 野望に向け、ついに始動した石田。俳優としては長いキャリアを持っているが、息子から見て監督としての腕はどうなのか。

パッと思った印象で言うと、すごく怖そうだなと(笑)。演技に関しては、厳しいと思います。自分も俳優としてやってきているし、ものづくりに対する情熱はすごいだろうなと。撮影現場では、ワンカットごとにこだわって粘りそうなイメージですね。エンターテイメントなんでどっちに転ぶかわかりませんけど、最近はちょっとネガティブな報道が続いてましたから、本当に応援したいなと思っています

 息子の言うとおり、近年は思わぬかたちで世間を騒がせてしまっている石田。一世一代の大プロジェクトを成功させて、夢の達成とともに汚名返上となるか。