この『ごめんね青春!』もそうだが、改めて振り返ると、宮藤官九郎脚本と俳優系ジャニーズの相性のよさは抜群だ。宮藤官九郎が、特に若者をメインにした群像劇が得意ということもあるのだろう。長瀬智也と山下智久が出演した『池袋ウエストゲートパーク』(TBSテレビ系、2000年放送)、岡田准一と櫻井翔が出演した『木更津キャッツアイ』(TBSテレビ系、2002年放送)、長瀬智也と岡田准一による『タイガー&ドラゴン』(TBSテレビ系、2005年放送)など、それぞれの代表作が目白押しだ。

 宮藤官九郎脚本に限らず、魅力的な群像劇というのは、俳優系ジャニーズにとって成功への近道になっていると言える。

木村拓哉の名作にも「群像劇」多数

 それは、木村拓哉の足跡を見てもわかる。最初に世間の注目を浴びた『あすなろ白書』(フジテレビ系、1993年放送)は大学生の群像劇、そして翌年出演した『若者のすべて』(フジテレビ系、1994年放送)も、同じ地元の若者たちを描いた群像劇だった。

 また俳優・木村拓哉の人気を決定づけた『ロングバケーション』(フジテレビ系、1996年放送)も、基本は木村拓哉と山口智子の恋愛ストーリーだが、同時に竹野内豊や松たか子らが絡む群像劇でもあった。大ヒットした『HERO』(フジテレビ系、2001年放送)も、法廷物や恋愛物の要素もありながら、検察官チームの群像劇としての面白さが欠かせない要素になっていた。

 付け加えると、木村拓哉の場合もそうだが、俳優系ジャニーズも長く活躍するようになるとともに、大人の群像劇に出演するケースも増えてきた。そのなかで、たとえば、『半沢直樹』(TBSテレビ系、2013年放送)に出演した中島裕翔のように、スーツ姿の役柄を演じることも増えている。