実際、“音”のセンスが『最愛』でも生かされている。松下演じる大輝は「飛騨弁」という岐阜弁とも大阪弁とも微妙に違う、東京生まれの松下には難しい方言を話すのだが、劇中の「好きやよ」というセリフなどは実にナチュラル。これについて、12月3日の『リアルサウンド』のインタビューに松下はこう話している。

《言葉で説明するのは難しいんですけど、たとえばネイティブな英語を喋る人って、僕たちが思っている以上にいろんな音を省いて、流暢に言葉を発する気がしていて。

 なので、方言も方言だからといって「音が合ってるかな」とか「こうしなきゃ」とか、ガチッと考えすぎないようにしています。

 今回でいえば、よく「~やで」と言うんですけど、僕はふだん「やで」なんて言わないので、「や・で」ってちゃんと言わなきゃいけないと思ってしまう。

 でも、きっと飛騨出身の方は「やで、なんとかなんとかで~」と、サラッとおっしゃると思うんですね。そういう細かなニュアンスを、あたかも“いつも喋ってます風”で喋れるように、というところは気をつけています。》

「音楽家としての素養が魅力や演技に生きている。いってみれば、“俳優寄りの星野源”ですよ。しかも松下の場合、音楽だけでなく絵画のセンスも抜群ですからね。

 幼少期は、画家である母の元で油絵を学んでいたそうですが、気軽に使いやすくて色が豊富という理由で学生時代からずっと“コピック”を愛用しているといいます。『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)の連載『フキサチーフ』など、イラストの仕事もコピックを主にしています。

 最近では11月に藤木直人(49)とミュージシャンで音楽プロデューサーのシライシ紗トリ氏との期間限定ユニット『49』CDジャケットのイラストも手掛けています。芸術家としての美意識の高さが、演技にも昇華されているとみて間違いないでしょう」(前出の女性誌記者)

 年内にクライマックスを迎える『最愛』。今年は松下洸平の『ゴチ』で始まり、松下洸平の『最愛』で終わる年になりそうだーー。