楽しみながら、ただ4回転半を

 '21年7月に行われたインタビューではこう話している。

《平昌五輪シーズンのように「絶対に北京五輪で金メダルをとりたいか」と言われたら、そんな気持ちはなく、とにかく自分の壁というか、一般常識の壁みたいなものを乗り越えたいと思っています》(『羽生結弦 未来をつくる』より)

 モチベーションは北京五輪に向いてはいないように思えるが、羽生の代表入りはどうなるのか。

「11月17日に日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は羽生について“(ケガの回復が遅れて全日本を欠場したとしても)選考の土台からは落ちない”と話しています。

 さらに“われわれとしてはしっかりと回復してくれれば、競技力を取り戻してくれると思っている”とも話しており、五輪での活躍に期待を寄せていることは明らか。なので、羽生選手が選ばれることは十分にありうるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 それでも、羽生の目指すところは“最後の夢”と語る4回転半を試合で達成すること。

今のゆづは純粋にゲームをするように、まるで少年のようにスケートを楽しみながら、ただ4回転半をやりたいと思っているのでしょう。

 ただ、ケガって治ったらそれで終わりではなく、どうしてもその先もケガをしやすい身体になってしまいます。その判断はどうするか……。それでも、全力でやりながらも優先順位をつけて、自分自身の熱い心を制御できるくらいのすごい選手になったと思います。

 目の前のことに一生懸命になりすぎていた、あのころのゆづから変わらないまま進化したな、という印象です」(前出・高橋さん)

 ピュアな境地でスケートを楽しむゆづなら、きっと夢を成し遂げた後の笑顔を見せてくれるはず!