美容家IKKOさんによる6年ぶりのエッセイ『1ミリの優しさ』。本稿では同書より、IKKOさんがこれまでの人生で前向きに生きるために「やめたこと」を5つ紹介する。人間関係に悩み、さまざまな苦労を重ねたからこそ語れるメッセージとなっている。

1日1ミリでも前に進めば大丈夫

(1)「悩む時間」は背負い投げ

 私自身、若い頃は悩み事にたくさんの時間を費やしていました。でも「どうしよう、どうしよう」と頭の中に溜めていても、ただ時間が過ぎていき、エネルギーを消耗してしまうだけだと気づいたのです。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 だから、「今できることはなんだろう」と考えていくことが重要ね。起きてしまったことを悩むのは時間の無駄でも、これからできることを考える時間は無駄じゃない。

 1日1ミリでも前に進めば大丈夫。少し後ろに下がっても、また1ミリ前に進めばいいの。ほんの少しずつであっても時間が経てば前に進んでいるものだから、この悩みに関して自分は何ができるだろうと、解決させていきましょう。長い人生だから、焦らない、焦らない。ただし、迷惑をかけた方のことはしっかり考えるように。

(2)ぼーっとする時間を恐れない

 私は40代になり、過労などが原因で、パニック障害を発症しました。そのときに大切だったことは2つ。それは「大丈夫、大丈夫」という気持ちを持つこと。そして体を楽にし、ぼーっとする時間を毎日少しでも作ることでした。

 パニック障害は、極度の緊張やストレス・不安などを抱えたときに起こります。私がパニック障害になって助けられたのは、「大丈夫、大丈夫」という言葉。ある人に「大丈夫、一生懸命生きた勲章よ」と言われたときに、私は気持ちが少し楽になったような気がしました。