ボランティアに押し付け

病気をしても適切な医療を受けさせてもらえない犬も(関係者提供)
病気をしても適切な医療を受けさせてもらえない犬も(関係者提供)
【写真】窮屈なケージの中に閉じ込められた犬たち

 特に大きな問題になっているのが動物愛護センターからや猫を引き出し、預かりボランティアに無理やり押しつけていたことだ。被害女性がそのときの様子を明かしてくれた。

「H氏の活動はSNSを通して知っており、ちゃんと保護活動をしている人だと信じて、応援していました」

 ある日、女性にH氏からメッセージが届いた。

「“すぐに里親を見つけるので愛護センターから引き出したを一時的に預かる活動をしませんか”という誘いでした。動物愛護の活動に興味があり、不幸な猫を助けるお手伝いができればと、参加しました」

 短期間なら、とボランティアを申し出た。小型の預かりを希望していたが、連れてこられたのは大型だった。

 だが、いつまでたっても里親は決まらず、H氏も探しているそぶりを見せなかったという。大型の世話に女性も家族も限界になり、引き取ってほしい、と相談したがH氏ははぐらかすばかりで話にならなかった。

 しばらくして、は引き取られたがH氏はSNSで女性がを虐待していたから引き取った、などと誹謗中傷をしたという。こうしたトラブルは後を絶たず、ケージの準備もないまま、突然、を引き出して預かることを要求された人や、里親が見つからず飼い続けることを決めたボランティアもいた。

 多頭飼育崩壊になりかけたケースもあったという。

「H氏に言われるがまま20頭以上、預かることになりました」(A子さん、以下同)

 リビングはのケージでいっぱいに。エサ代、ペットシーツ代で月4万~5万円の出費。散歩もひと苦労だったが里親は決まらなかった。金銭的にもきつく、相談すると、「甘え」だと一蹴された。

 結局、H氏やほかの支援者に引き取ってもらった。

「H氏はうちからの数頭だけは引き取り、“あとはおまえが処分しろ”とほかの支援者に押しつけたそう。みんな最初は信じてを預かったのに裏切られた」

 ボランティアらの献身的な世話や動物たちの様子は定期的にH氏自身のSNSで紹介されており、支援金の申し出も多かった。だが、その寄付金は保護やボランティアに使われなかったと被害者たちは明かす。

 さらにはお金になると言われた人もいた。

「猫はお金にならないからと、ほとんど引き出していませんでした。でもは例えばブリーダー崩壊で保健所に収容される場合は種がわかるのでペットショップで数十万円かかる種でもH氏のところなら数万円で譲渡してもらえる。ただし“売れなかった子は山に捨ててこい”と言われている人もいましたね」(九州の保護団体関係者、以下同)