六本木駅からほど近いロシア大使館は、警察の大型輸送車が物々しく車列を成していました。そこから坂を下ったウクライナ大使館は、都会の喧騒が嘘のように佇んでいます。一方、ウクライナの首都キーウと姉妹都市提携を結ぶ、京都市役所の前の献花台には、花を手向ける人が途絶えることはありません。

「まさか全面戦争などありえない」多くの人が半信半疑だったロシアのウクライナ侵攻。しかしそのまさかは2月24日に現実のものとなり、1か月以上が経とうとしています。ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊では、一般市民への虐殺が明らかになるなど、まさに悪夢の様相を呈しています。

5月9日のロシア「勝利宣言」で一旦小休止か

 この悪夢はどんな結末を迎えるのでしょうか。旧ソ連が第二次世界大戦でドイツに勝利したことを祝う5月9日のロシアの「戦勝記念日」というものがあります。小野寺五典元防衛大臣は、この日までに、プーチン大統領は目に見える成果を挙げたと国内向けに喧伝できる状況にし、勝利宣言をするだろうと示唆しています。

ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領。2017年にナショナルジオグラフィックが放送したインタビュー番組『プーチン大統領が語る世界』より

 戦争が始まった当初は、数日のうちにキーウは陥落すると思われていました。ところがウクライナ軍はヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領を中心に予想外の善戦を見せ、プーチン氏は、ウクライナ政府の降伏あるいはゼレンスキー政権の交代という当初目標の、下方修正を余儀なくされました。

 4月6日現在、ロシア軍は首都キーウ周辺を含む北部からほぼ撤退し、東部と南部の制圧に集中すると予想されています。2014年に併合したクリミア半島から親ロシア派武装勢力が根城とする東部ドンバス地方、さらにはロシア国境までを支配下に置き、それを持って「勝利」の根拠とする見方が出ています。

 ロシアは地上兵力の半数以上を投入したものの、一説には死者は早くもソ連のアフガニスタン侵攻の10年間と同規模の、約1万5000人に達したといわれています。また、将軍クラスの指揮官で戦死者が7人出たと報じられました。兵器などの製造も西側諸国からの部品が途絶えることで困難になるはずです。