制裁による経済危機も深刻化しており、国債のデフォルト(債務不履行)はいずれ避けられないとの見方です。各国の輸出規制、輸入規制も今後じわじわとロシアの国内産業を瀕死の状態に追いやるでしょう。

 つまりロシア自体も追い込まれており、「勝利宣言」をしながらも停戦することで、これらの損害に歯止めをかけるつもりなのかもしれません。しかし一般市民の殺戮など“蛮行”があったと報道され、真偽に関わらず経済制裁が止まることはないでしょう。

3月23日、日本の国会でオンライン演説をするウクライナのヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領
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 一時的な停戦はあっても、経済的に追い込まれたプーチンロシアが再度牙をむくことはありえますし、東部と南部を“もぎ取られた”ウクライナがこのまま黙っているとも思えません。

火中の栗を拾えるのはトランプ前大統領しかいない?

 もしかしたら、この戦争は停戦と停戦破りを繰り返しながら数年にも及んで行く可能性は多いにあると、私は見ています。どこかで経済制裁で追い込まれたプーチン氏が、一部地域からの兵力撤退などを提示して、トランプ前アメリカ大統領に仲裁を依頼する可能性があります。ロシアとウクライナ、あるいはロシアと西側諸国の仲裁かは状況によります。

 そもそもプーチン氏には、トランプ氏を有利にすべくアメリカ大統領選に介入した疑惑があり、2者は親密という見方があります。また、トランプ氏は世間の目を物ともせず、ウクライナでのプーチン氏の戦略を「天才的な一手」と述べています。そもそもトランプ氏は2019年に緊張の続く北朝鮮を電撃訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談するなど、「独裁者とウマが合う」大統領でした。

 ここで述べていることは、あくまで予想されるシナリオであり、決してプーチン氏を「許すべき」という意図ではありません。

 プーチン氏にもメンツがある以上、追い込まれて屈するよりは追い込まれて暴発する恐れがあります。考えたくもありませんが、核兵器のボタンを握っているのです。そんな時に彼の顔を立てて“逃げ道”を作るのに最も適任なのはトランプ氏なのかもしれません。プーチン氏を「権力の座に残しておいてはいけない」と罵倒したバイデン大統領にはもう難しいでしょう。

 1994年、核開発疑惑により北朝鮮とアメリカとの間で「開戦間近」というほどの緊張関係になった際、ジミー・カーター元アメリカ大統領が政府特使として北朝鮮を訪問し、金日成主席と会談し危機が回避された事があります。アメリカ元大統領の肩書は仲裁にこそ生きてくるといえましょう。