東京都が落とし物から得た金額は6億超え!

遺失物センターの倉庫では、杖の落とし物も多数見受けられた
【写真】6億の根源!落とし物が入った大量の“布袋”

 通常、落とし物は、拾得者(拾った人)または駅、デパートなどの施設管理者を経て交番や警察署に届けられる。東京都内の落とし物は、警察署で約2週間保管され、持ち主に返還されないものは、遺失物センターに移管。警察に届いてから3か月たっても持ち主が見つからない場合、所有権は拾得者に移る。拾得者が権利を放棄すれば、最終的に各都道府県のものとなる。

 個人情報に関わるものや売却できないものは廃棄されるが、一部のものは売られ、代金は都道府県のものになるのだ。

 昨年、東京都の帰属になった現金の落とし物は約4億1000万円物品の売却代金は約2億6000万円だった。落とし物で都が得た金額は約6億7000万円にものぼる。

 五十嵐所長に遺失物センターの地下倉庫を案内してもらった。鉄道会社別に色分けした大きな布袋に、受理した日付ごとに、落とし物を入れ、棚に収納しているという。

 大手学習塾の札が付いた合格祈願の破魔矢、未開封の突っ張り棒などが袋の口から顔をのぞかせ、思わず持ち主の姿を想像してしまう。

 膨大な数の落とし物を捜し当て、持ち主に返す。気が遠くなりそうな業務だ。特に傘には苦労するという。

「似たような傘がいっぱいあります。ある日、電話で“傘をなくした”と問い合わせがあって、何とか捜して返還しました。後日、“あの傘は母にもらった大事なものだったんです”と感謝の手紙をいただきました。そうやって喜んでもらえるのは、励みになります。どんなものでも、その人にとって大事なもの、思い出の品物がありますから」

 5月初旬、千葉県にあるショッピングモールの一角で『鉄道忘れ物 掘り出し市』が開催されていた。

 傘、メガネ、サングラス、雑貨、バッグを安価で販売している。使用感はあるが、高級ブランドのグッチのキーケースが2500円、イヴ・サンローランの傘が1500円、人気アウトドアブランドのスノーピークの折りたたみ傘は1900円と、どれも元値の半額以下だ。

 熱心に傘を選ぶ女性客もいた。掘り出し物もあるが、何か手放しに安値を喜べない空気が漂う。忘れられた「モノ」たちの哀しみだろうか……。そんなことを思いながら、筆者はなくしていた折りたたみ傘の傘袋だけを10円で買った。