両津勘吉巡査長を主人公としたギャグ漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で40年間続いた人気連載。単行本は2016年の201巻で最終巻となった。

未来を予言する『こち亀』の世界

 その後、'21年に『ゴルゴ13』(リイド社、現204巻)の記録に抜かれるまでは「もっとも発行部数が多い単一漫画シリーズ」としてギネスに登録されていた。そんな「こち亀」には、未来を予想し、現実になったシーンが多い。

 もともと「こち亀」は『ヤングジャンプ』(集英社)の読み切り漫画として掲載された。その後、休載することなく、『少年ジャンプ』で連載され、作者・秋本治(69)の代表作となった。

 連載当時には実現していない技術も多かった。スマートフォンが出現する前の'02年に発行された、129巻の「驚異のシルバーiT!の巻」では、携帯電話でバーコード決済をするシーンが描かれている。

 現在では多くの人がスマホを所有し、電子マネーを利用している。特に都市部では日常となった。漫画の設定ではQRコードは想定されていないが、バーコードを読み取る仕様で、現在の利用法と同じだ。

 その“携帯電話”の巻では、テレビをネットで見られる仕組みを紹介している。掲載されたのは'99年、NTTドコモがiモードのサービスを始めた時期で、ワンセグ放送を受信できるようになったタイミングだ。

 この仕組みは現在の「TVer」、「AbemaTV」と似ている。

 これらのサービスは、「こち亀」掲載から20年たった今では当たり前となり、日常の生活に欠かせないものになった。現実のサービスが「こち亀」に追いついてきたようにも思える。

 発明という視点で見ると、ロボット掃除機の『ルンバ』(アイロボット社)を想起させる回もある。19巻('81年11月)の「発明の日!の巻」。発明家が《ちゃんとコンピューター掃除機をもってきました》《このとおり ゴミをおいもとめてすすんでいくわけです》《ゴミがたまると自動的に袋に詰めて出します!》と話す。

『ルンバ』の開発自体は'90年代から行われていたが、商品化は'02年のクリスマス商戦からだ。その後'18年のモデルでは、ダストボックスへのゴミ捨てまで自動で行う機能が搭載されている。