「世界でいちばん大好きじゃけ」

 しかし、書き始めるとペンが進まない。自分の心の葛藤や、お互いの年齢のことで子どもができないのはかわいそうだと思われていたことなど、やるせなさが込み上げてきました。でも、書き進めながら数年前の加トちゃんの大病のことを思い出し、その時に“加トちゃんが生きているだけで幸せだ”と、心の底から感謝した気持ちが蘇りました。そして、子どもの章をすべて書き終わるころには、本当に今が幸せだと思えるように。

 完成後、加トちゃんに見せたらまたまた「ここのオチが弱い」とダメ出しされたところもありましたが、子どもについて書いたページを読んでいる加トちゃんが、なんと……涙を浮かべていたのです。

まるでわが子のような本が完成。たくさんの方に楽しんでもらえますように!
まるでわが子のような本が完成。たくさんの方に楽しんでもらえますように!
【写真】加藤茶の漫画を一生懸命に描く加藤綾菜

 そんな加トちゃんに「いろいろあったけどウチと結婚してくれてありがとう! 世界でいちばん大好きじゃけ。次はうちが守っていくけぇ」と言うと照れくさそうに「ありがとう」と笑っていました。

 いまだ不安定な世の中ですが、日々の生活の中でこの本を読んでクスッと笑ってもらえたり、当たり前の毎日がどんなに素晴らしいのか感じていただけたらうれしいです。そして、これからも目の前の人を変わらずに大切にしていきたいですね。


かとう・あやな
●2011年に加藤茶と結婚。夫を支えるため「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。