目次
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ー 「年だから…」はもう時代遅れ! ー タブー視されてきた下半身不調に新概念
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ー part1. 閉経前後の不調、どうする? ー 放置すると危険も!間違えやすい病気に注意
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ー part2. 閉経後、カラダはどう変わる?
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ー part3. ホルモン治療って怖くない?
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ー part4. 下半身トラブルは恥ずかしいこと?

 ホルモンの影響で40代後半から増えてくる、女性ならではの心身の不調。「年だから……」と諦めてない?「女性の生理や更年期は、もう隠したり我慢したりする時代ではありません!」そう口をそろえるのは、女性医療のスペシャリストたち。特に閉経の時期は、その過ごし方で残り半分の人生が決まる大切なとき。閉経の前向きな乗り越え方を聞いた。

「年だから…」はもう時代遅れ!

「ここ数年で、ようやくメディアが女性の生理について取り上げるようになり、更年期についてもオープンに語られる時代となりつつあります」

 そう言うのは、さまざまな角度から女性の不調にアプローチする産婦人科医の高尾美穂さん。更年期とは、閉経の前後5年間ずつの計10年間のことを指し、閉経のタイミングにより、人それぞれ更年期は異なる。さらに更年期によって生じる不調にも個人差が大きい。

 ひと昔前までは、女性特有の不調の解決について、大きな声で語られることは少なかった。女性器周辺は“陰部”や“デリケートゾーン”と呼ばれ、下半身の話題は意識的に避けられてきたが、その価値観に変化が。

「近年では、女性である自分の身体をもっと知ろう・触ろうという意識が高まっています。それに伴い、デリケートゾーンのことを“フェムゾーン”と呼ぶように」

 そう語るのは、数多くの女性の下半身トラブルを解決してきた女性泌尿器科医の関口由紀さん。女性の身体のことを、女性自ら発信できる時代になってきたと言う。

 これからは40~50代の更年期に当たる世代の女性たちが、会社の管理職としても活躍する時代。女性が自分らしく生きるためにも、更年期の理解は社会の必然だろう。

「年だから」とつらさを我慢するのではなく、風邪をひいたら内科に行くように、つらいときは婦人科に相談を。そう選択した女性の症状が、短期間で驚くほど改善する例も現場では少なくない。


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閉経前後の更年期に、女性ホルモンの分泌量が減少。低い値で安定するまではさまざまな不調が現れる

閉経前後の更年期に、女性ホルモンの分泌量が減少。低い値で安定するまではさまざまな不調が現れる

「子宮を取り巻く女性の下半身は、身体の中でも特に大事な部位なのに、きちんとケアしないほうが不自然。フェムゾーンを自分の目や手でチェックする習慣をつければ、トラブルが起きたときもすぐに気づけます」(関口さん)

 更年期に伴うフェムゾーンの痛みやかゆみがあれば、恥ずかしがらずに病院に足を運んでほしいと言う。

タブー視されてきた下半身不調に新概念

 閉経前後は、尿もれや性交痛など、下半身のトラブルも急激に増えるが、かつては加齢によるしかたのないものとして諦められてきた。しかし近年、そうした下半身トラブルに『GSM』(閉経関連尿路生殖器症候群)という新しい概念が提唱され、治療対象として認められるように。隠さずに適切な治療をすれば、症状は改善が期待できるのだ。

「閉経を挟んだ更年期はいわば身体の急激な曲がり角。自分を休める時間を取り、改めて自分の健康の棚卸しを」(高尾さん)

「更年期の過ごし方は、閉経後の人生に大きく影響します。自分の身体ときちんと向き合って」(関口さん)

 人生100年時代、閉経後も人生の時間はまだ半分残っている。「更年期」とは、身体の声に耳を傾けるべきタイミングなのだ。

正しく知っておきたい!3つの違い

【閉経】
 月経が完全になくなった状態。医学的には「12か月間月経がない」ことで閉経したとみなす。閉経年齢には個人差があるが、一般的には遅くとも56歳には閉経するとされている。

【更年期】
 閉経の前後5年間ずつの合計10年間が、更年期。例えば50歳で閉経した場合、更年期は45歳から55歳の間。閉経してみないと、更年期がいつ始まったかはわからない。

更年期障害
 更年期はエストロゲンの分泌量が減少することで、さまざまな不調が現れやすくなる。これらの症状を更年期症状といい、治療が必要な特に重い症状を更年期障害と呼ぶ。