なぜ魅力的に感じるのか

 それにしても、イケメンとはいえ、なぜこれほどまでにニシゴリラに熱を上げてしまうのか? 動物研究家のパンク町田さんはこう見解を述べる。

「人間は、ゴリラやチンパンジー、ボノボといったヒト科の動物です。その中で、唯一、幼生の形のままで生殖可能な状態となる幼形成熟(ネオテニー)の進んだ動物です。ネオテニー化が進んでいないゴリラは、幼形化していないヒト科の生物。つまり、人間からすれば立派な大人に見える。完成された立派な大人のヌード、さらにはイケメンですから、人気を集めるのも納得」

 ブレイク当時、すでにシャバーニは子どもを持つパパでもあった。'18年には、樹上生活を再現し8mもの高さのタワーを設ける新しい獣舎へとお引っ越し。ダンディーな「静」のシャバーニ、躍動感あふれる「動」のシャバーニを、より観察できるようになった。

 また、息子のキヨマサは、今まさに大人の階段を上っている最中だといい、「イケメンの要素があると思います」と阿部さんも声を弾ませる。近い将来、イケメン親子そろい踏みが見られるかも!?

「イケメンが注目されるのですが、彼らの魅力は見た目だけではないんですね。イクメンであり群れで暮らすニシゴリラの本来の姿や動物としての素晴らしさも見ていただけたら」(阿部さん)

【コラム】 パンク町田さんが解説! 「あの動物たちはどうして話題になったのか」

 これまでさまざまな動物たちが話題になってきた。筆頭格が、'02年8月、多摩川の丸子橋付近に出現したアゴヒゲアザラシの「たまちゃん」だろう。

 パンク町田さんは、「アザラシの寿命は25~30年ですから、今もどこかで泳いでいるかも」と推測する。

「アゴヒゲアザラシは、世界で最も数の多いアザラシの種類。そして、ほかのアザラシと違い尖った犬歯がなく臼歯で魚のほか貝なども食べます。砂地のものも食べるので、川に迷い込んでも何とかなったのでしょう」(町田さん)

 また、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)で志村さんが愛した捨て犬のちび、ドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系)で好演したミニチュア・シュナウザーのムックなどなど、名物ワンちゃんたちもいた。

 ちびは、現在、朝日山部屋で力士たちの癒し的存在として飼われ、ムックは今年1月に同ドラマで共演した鈴木福くんと福くんのインスタグラムでツーショット姿を披露している。

 世間をにぎわした名動物たち。その意外な効果を、町田さんはこう締めくくる。

エリマキトカゲ
エリマキトカゲ

「'84年のエリマキトカゲが顕著ですが、世間のイメージを変える力がありますよね。エリマキトカゲの出現によって、それまで気持ち悪いというイメージが先行していたトカゲが、「かわいい」、「愛くるしい」と言われるようになった。大きな社会貢献をした、すごい動物たちだと思います」

解説してくれたのは…… パンク町田さん(動物研究家)

ぱんく・まちだ 1968年、東京都生まれ。NPO法人生物行動進化研究センター理事長。特定非営利活動法人日本福祉愛犬協会(KCJ)理事。野生動物の生態を探るため世界中に探索へ行った経験を持ち、3000種以上の飼育技術と治療方法を習得している。

「パンク町田TikTok」「パンク町田のアニマルTV(YouTube)」を配信中。※収益は世界の子どもたちの自然環境教育に活用しています

【そのほかにも……あの動物たちの“その後”】

人面魚
1990年に一大ブームを巻き起こす。今も当時のように、善寳寺(山形県鶴岡市)の貝喰池で泳いでいる

ロシナンテ
『雷波少年』(日本テレビ系)のドロンズが挑戦した「南北アメリカ大陸縦断ヒッチハイク」で人気者になったロバ。現在は、田中義剛が経営する北海道の花畑牧場で暮らしている

カッタくん
山口県宇部市のときわ公園で放し飼いにされていた、オスのモモイロペリカン。幼稚園児とのふれあいが印象的だった。'08年に死ぬものの、1羽の息子、6羽の娘、2羽の孫が

バブルス
故・マイケル・ジャクソンさんと共に暮らしていたことで知られるチンパンジー。現在は米フロリダ州の「Center for Great Apes」(大型類人猿センター)で余生を送っている

取材・文/我妻弘崇