では今後、彼がどういうものを目指せばいいかというと、非モテキャラから大化けした芸人にタモリ(77)がいる。ただ、山里は昔からアンチに「必死すぎて笑えない」とも言われてきたので、タイプ的には真逆だ。

 また「モテたい」をこじらせて、唯一無二の存在感を醸し出すにいたった片岡鶴太郎(67)のような人もいる。が、似ているのはむしろ、役者をやったりボクシングや絵をやったりしているしずちゃんのほうかも。あるいは、南海キャンディーズふたり合わせて鶴太郎的というべきか。

 なお、山里をライバル視しているのがオードリーの若林正恭(43)。前述の『天才はあきらめた』では解説を担当して、誰よりも「コメントを拾うのがうまい芸人」だと絶賛している。そして、こんな予言的なことも。

《彼が、愛をさらに膨らまし伴侶を見つけでもして、人情系あったかMCになるのがぼくは怖い》

 ふと、笑福亭鶴瓶(70)の顔が浮かんだが、その道もそう簡単ではない。

 自身のラジオでは、スマホの待ち受け画面を早速、娘の写真にしたと明かした山里。結婚相手が人気女優でなければ、そこも「キモい」といじってもらえたかもしれない。

 なまじ「非モテキャラ」がよくできていた分、そこからの転換は意外と難しいのだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)