親の介護の影響で友達が…

介護で友達と疎遠になる人も…(※画像はイメージです)
介護で友達と疎遠になる人も…(※画像はイメージです)
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 親の介護という物理的な制約のため、友人関係が絶たれてしまった女性もいる。

「介護で自分の時間がない。収入も減り、自由に使えるお金もない。そのうち友達と呼べる人がいなくなりました」

 美容師の伊藤由香子さん(仮名=50代)は現在、母親と妹の3人で暮らしている。住み慣れた関西をあとにして、関東へ引っ越したのは約10年前。突然、母親が難病にかかり、妹だけでは世話をするのが困難になったからだ。

「私が20歳のころ、母は再婚相手と関東のある県へ移り住んだんです。私は関西で就職、母たちと離れて暮らしていました。でも、数年して義父は病死。その後も妹と母は関東に残りました。関西から遊びに行くこともありましたが、仕事が忙しくなり、あまり連絡もとっていなかったんです」(伊藤さん、以下同)

 そこへ飛び込んできた難病の知らせ─。伊藤さんにとっては縁もゆかりもない土地での介護が始まった。

「関西なら役所や福祉施設にいる友人に話を聞けるし、情報収集もしやすいんですが、関東では何が必要でどこにあるのかもわからない。そんなときに、妹がうつ病になってしまい……。誰にも頼れない状態で介護の体制を作らねばならず、しんどかったです」

 伊藤さんがより孤独感を募らせるようになったのは、ケアマネジャーや訪問ヘルパーも確保でき、大変ながらも介護生活が回り始めてから。

「病気の進行に伴って、母が“死にたい”とこぼすようになったんです。うつ病の妹も“消えたい”と言う。苦しいのは本人とわかっているけれど、家族もつらいです」

 数年前まで、伊藤さんは「もう限界」になると母親をヘルパーに任せ、関西へ友達に会いに行くこともあった。

「でも、病状が悪化するにつれ、それも難しくなって。愚痴や不安を誰かに聞いてほしいと思っても、込み入った話になるから多忙な関西の友人には言いづらい。何より私自身に余裕がなくて、連絡を返さないでいるうちに、疎遠になってしまった。関東には相変わらず友人もいません。

 大人になって、こんなに切実に“気持ちを打ち明けられる友達が欲しい”と思うとは、考えてもいませんでした」

子どもの頃から友達がいないケース

 人の輪に入れない、溶け込めない、本音が言えない。そうした悩みを子どものころから抱えてきたのは、松井喜代美さん(仮名=40)。自身を「元・ひきこもり」と言う。

「今の職場で働くようになって4年もたつのに、友達はおろか、世間話をできる人もいません。半年前に入ってきた人がもう慣れて、同僚同士で飲みに行ったりしているのに……」(松井さん、以下同)

 松井さんの「友達いない問題」は年季が入っている。小学1年のとき、2人1組になる体操の相手が見つからず、泣いて家に帰った。いじめに遭ったのをきっかけに、中学は休みがちに。高校では不登校になり2年で中退。高卒認定試験(旧大検)を受け大学へ進学したが、19歳の夏、ひきこもり状態に陥った。

「頑張って入った大学なのになじめなかった。周りの学生の和気あいあいとしている様子に、友達のいない私は居たたまれなくなってしまったんです。他人の目が怖くて、ひきこもるようになりました」

 腫れ物に触るような家族との接触を避け、日中はひたすら眠ってやり過ごした。外出できるのは真夜中、コンビニに出かけるときだけ。そんな生活が5年近く続いた。

「あるとき、急に眠れなくなって。起きている間じゅう、気ばかりあせって不安で苦しい。それで自分から病院へ行きたいと言い出したんです」

 それをきっかけに、徐々にひきこもりから脱出。外出できるようになると、食品の検品業務を皮切りに短期のアルバイトをいくつもこなした。30歳で結婚した夫は職場で知り合ったバイト仲間だ。

「結局、友達はできないままだし、話し相手は夫だけ。私にとって、友達づくりは婚活より難しいと思っています」