大学入試が難化している2つの理由

 都市部の大学入試が難化しているのには主に2つの理由がある。

 1つ目は国が「地方創生」のために地方に若者を定着させようと、2016年に都市部の私立大学に定員以上の合格者を出す「水増し合格」の制限をしたこと。

 2つ目は2019年に学部の新設を規制したことが挙げられる。結果的に都市部のあらゆる私立大学で合格者数が軒並み絞り込まれ、「どの大学も難しくなった!」と受験生が焦ったわけ。そして、少しでも早く合格を確保しようと推薦入試や総合型選抜を目指す受験生が増えたのだ。

 では、推薦入試や総合型選抜が具体的にどう難しくなっているのか、石渡さんに説明してもらった。

「まず、問題文や作文の字数が多くなっています。中堅大学でさえ“1800字の文章を2つ読んで小論文を書く”といった課題を出しています」

 書く内容も、知識があるのは当たり前という前提で、考えさせる問題が増えている。

「例えば、従来なら“ザビエルが来日した目的を50字で書きなさい”というレベルだったのが、“あなたがザビエルなら日本での布教のために何をするのか、根拠付きで400字で書きなさい”というふうに、文章力に加えて創造的思考力も求められるように」

 そして、冒頭で紹介したように、推薦入試や総合型選抜では、課外活動の内容も加点の対象となる。課外活動とは、授業以外の部活、生徒会活動、、研究、留学やボランティア活動などのこと。特に難関大の推薦入試では、「科学オリンピックに出場した」など、全国レベル、国際レベルの成果や実績をあげていることが求められる。

 そもそも、こうした大学の試験に出願するには、高校の学校成績も一定レベルをクリアしていなくてはならない。

「条件となる評定平均(高校3年間の成績の平均。マックスが5)は、中堅大学でも、評定平均が3・4以上。早稲田大学クラスになると3・9以上が出願の条件です」