濱家さんのツッコミ力がすごい理由

 もし僕が、「コント師かまいたちと漫才師かまいたちのどちらがすごいか?」と、聞かれたら、「漫才師かまいたちである」と答えます。そこには1つ明確な理由があって、ツッコミで、「抱かれたい男第3位」、身体もアレも大きい(本当は大きくない)濱家さんの活躍っぷりにあります。

 濱家さんは、コントで役に入っているときのツッコミより、漫才師として本人でツッコんでるときのほうが非凡なものがあります。

 まあ、これはコントの持つ宿命的な部分でもあるんですが、コントにおけるツッコミは被害者としての立場が多いです。

 かまいたちでいうと山内さん演じる狂気のボケキャラが、濱家さんを困らせる、あるいは恐怖に陥れていくというシチュエーションが多いのですが、ここで縦横無尽にツッコんでいくと、パワーバランスがおかしくなって世界観が崩れます。例えば、実社会で変なお客さんに店員さんがズバズバと切れ味鋭いツッコミをしていたら、狂人は店員さんになってしまいますよね。

 そのぶん、コントのツッコミはその立場の枠の中で適正なツッコミをいかにしていくかという醍醐味はあるのですが、漫才での濱家さんのツッコミは山内さんに負けじとツッコんでいく形が真骨頂だと思います。そして、そのツッコミをいなし、利用し、華麗にボケを極めていく山内さん。やっぱりかまいたちの漫才は惚れ惚れします。

 また、彼らは漫才でもコントでも、そのフィールドの利点を活かした芸を提示するのが得意ですが、それはバラエティー番組やYouTubeチャンネルにも通じていて、かまいたちはどんなときも面白い。その面白さは常に青天井。そんな彼らが今後お笑い勢力図をかまいたち色に染めていく未来は、予測するまでもないでしょう。

岩崎う大 1978年東京都生まれ。早稲田大学卒。かもめんたるとして槙尾ユウスケとコンビを結成。キングオブコント2013年優勝。お笑い芸人だけでなく、脚本家、放送作家、漫画家として多彩に活躍中