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ー アンガールズ田中は相当な策士で、狂気の持ち主

 かもめんたる・岩崎う大が注目のお笑い芸人の今後を予想する連載企画。今回の芸人はアンガールズ

アンガールズ田中は相当な策士で、狂気の持ち主

 11月19日21時よりフジテレビ系列で放送される『ドラフトコント2022』にアンガールズの田中さんが出演されます。

 この番組は、5人のキャプテン芸人が番組の選出した20人の芸人をドラフト形式で選択していき、1か月後に各チームでユニットコントを披露して優勝を争うというものです。お祭りのようで、その内容はかなりガチといった番組です。田中さんは、チームを率いるキャプテン芸人として出演しており、ちなみに僕、岩崎う大も選ばれる側の芸人として出演予定であります。

 アンガールズさんは、もうかれこれ売れ続けること20年の人気芸人なので印象も世代によってさまざまかと思います。

 デビューした当初はキモカワ芸人と騒がれ、アイドル芸人的な人気を誇っていた時期もあります。同じころデビューした僕からすると、おふたりはあっという間にお茶の間の人気者になったという印象があって、同時にそれも当然だと激しく思うのです。

 最初におふたりを見たのは、とあるオーディション会場でした。長身でガリガリのそっくりな背格好のふたりがナヨナヨした頼りない発声で演じるコントに、とても嫉妬したのを覚えています。

 当時は、お笑いのネタというと、ネタの発想が重視されていました。どれだけすごい発想で、他の芸人を圧倒できるか?という勝負でした。ところが、アンガールズさんのネタを見たときに、ネタの発想以外のところにも、たくさんのアイデアを感じたのです。ヒョロヒョロのふたりが、ナヨナヨの声で、フワフワしたことをやるのが面白いという、自分たちをとことんまで俯瞰したうえで練られた戦略が感じられました。

 そして、何より悔しかったのは、やっているネタがとてもマニアックだったんです。ちゃんとハイセンスで面白い。でも、そういうものを無名の若手がやると「伝わりづらいよ」と言われて拒絶されてしまう。それが表現の世界の習わしだと思い知らされていた僕は、それを自分たちの身体、声、動きを使って華麗に覆したおふたりがうらやましくて仕方がありませんでした。

「あの人たちは自分たちが面白いと頭の中で思っていることを、ちゃんとふたりで表現できているんだろうな」と。