実朝の死を悲しんでくれるといいな

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では三代将軍・源実朝を好演している。

「反響の大きさには驚きました。“ここまでみんな見てるんだ!!”と。僕は今まで能動的で積極的な役が多かったので、実朝のような静かな役は初めてで。何より、役者として“実朝にかけたい”という思いがありました」

 病弱キャラゆえに体重を5キロ落とし、撮影の5か月間は他の仕事を入れずに挑んだ。

「実朝に近づけるように、“これ以上、自分にやれることはない”っていうくらい追い込んで。また現場は、キャストとスタッフのものすごい熱量で回っていて。なかなか経験したことのない、本当に幸せな時間でした。クランクアップして数週間がたちますが、急に撮影に行かなくなったのがすっごく寂しくて。若干、ロスですね(笑)」

 物語は終盤戦を駆け上がっている段階だが、

「史実として、最終的に実朝は死ぬわけですが、そのときに“柿澤の芝居、大したことなかったな”ではなく、一緒に悲しんでくれる人が多いといいなと願っています。実朝ロス? あははは(笑)。そんな現象が起きたらうれしいですね」

ミュージカル“だけ”の俳優には絶対なりたくない

30代も後半に突入。描いている役者像を尋ねると、

「今は、とにかく芝居をしたいです。『鎌倉殿の13人』のチームは本当に最高だったので。またそんなエネルギーをかけられる役と出会いたいです。なので、ジャンルや場所は問いません」

 “舞台の貴公子”とも呼ばれる柿澤のキャリアと実力は折り紙つき。てっきり、主軸はミュージカルなのかと思いきや、

「まったく思ってないですね。『劇団四季』を退団した22歳のときから、ミュージカル“だけ”の俳優には絶対なりたくないという思いは強かったので。ストレートプレイだろうと、映画だろうと、ドラマだろうと何でもいいので、最高の作品と役に出会える30代後半になればいいなと思っています」

ミュージカル『東京ラブストーリー
11月27日~12月18日、東京建物 Brillia HALLにて。その後、大阪、愛知、広島公演あり。