オリジナルアルバム『Hana Uta』の発端は…

新作のタイトル『HanaUta』には“いつも何げなく口ずさんでいる歌”という意味が(※画像クリックでAmazonの販売ページへ移動します)
【写真】老舗ジャズクラブ『ブルーノート東京』でライブを開催す笑顔の綾戸さん

 歌手生活も今年で25周年の節目を迎えた。12月には5年ぶりのオリジナルアルバム『Hana Uta』を発売。

介護がなくなって、コロナ禍で仕事もなくて。畑をやりながら3食ごはんを作って、家でピアノを弾いて楽しんでたら、おもしろい音楽ができて、こんなことになりました(笑)。もともと私は歌手やなくて、鼻歌を歌うような感じでプロになった。母の最期のときも一緒に歌ったりして。母が好きな漢字も“華”で、戒名に入れたんです。はなって言葉が好きやねん」

 65歳という年齢は「かなり気に入ってます」と綾戸。

「怖いこともなくなってきて腹も立たへんしね。私は、大義名分がないんです。何も決めないタイプ。ただ、今置かれてる状態の中でベストに生きていこうと思うだけです」

 波瀾万丈の人生の中で、生きるために戦ってきた。そんな綾戸がジャズシンガーを続けてこられたのはなぜか。

「25年やってきて、やっぱり歌は天職やったんかなと思うことはあります。歌ってなかったら会えん人らが“いい歌ですね”って感動して喜んでくれる。その人らがいてくれたから続けてこれたんやろな。それがなかったら、ただの大阪のおばはんや(笑)」

 母として人として、当たり前のことを当たり前のように。どこまでも飾らない生き方が、パワフルな歌声となって人々に元気を与えている。

「さぁ、夕飯の支度に行かな」