そんな、ただでさえ厳しい懐事情に追い打ちをかけたのが新型コロナの感染拡大だ。2020年以降はスポーツやコンサート、各種イベントが中止・延期の措置が取られるなど、満足に興行ができない事態が続いたが、格闘技も例外ではなかった。

 番組内でも、念願の試合に向けて鬼気迫る表情でトレーニングに打ち込む姿が映されるも、本番2日前になって政府から緊急事態宣言が発令。6キロ近くの減量を達成して、2日間イモしか口にしていなかったという彼女は、自身のYouTubeチャンネルで試合中止を報告した上で、くやし涙を流しながらカップ麺をすすったのだった。

10月に所属ジムも辞めていた

 格闘技専門チャンネルのディレクターは格闘家たちの現状を明かす。

「有名格闘家であれば1試合でウン千万円、プロボクシングの世界戦や、それこそ天心選手と武尊選手の試合には億単位のファイトマネーが動いたともされています。しかし、そんな大金を手にするのはほんの一握りの選手たち。キックボクシングでは数万円から十数万円、日本チャンピオンクラスでも数十万円が相場

 しかも、璃奈選手は4月に左膝前十字靭帯断裂の大怪我を負って手術、現在はリハビリの最中でリングに立てていない。しかも10月に所属ジムを辞めたことで引退も囁かれるなど、思うような収入を得られていなかった可能性もあります。そんな現状と、見えない未来への焦燥から犯行に手を染めてしまったとしたら、残念です」

 密着取材の終盤にはキックボクシングを始めたきっかけを聞かれて、当初は「エクササイズ目的だった」だったものの、次第にのめり込んでいったという璃奈。

《もともと(自分に)自信がなかったので、勝つとすごい自信になる。すごい自分を好きになれるし、怖いんですけど戦いたいと思いますね。勝った後の(リング上からの)あの景色が忘れられないというか》

 自らリングを降りるような行為に、今はただ後悔していることだろう。