新作映画に原作者は「納得できました」

夜遅くにもかかわらず、インタビューに応じてくれた山田氏。映画の宣伝で多忙な日々が続いているという
夜遅くにもかかわらず、インタビューに応じてくれた山田氏。映画の宣伝で多忙な日々が続いているという
【写真】島民に配布された「エキストラ募集」のチラシ、2004年の第1作目の出演者ほか

 山田氏は以前から、作品に対する権利関係への意識が高く、版権のみならず電子書籍の権利に関しても自身で管理している。そのため、作品の映像化に関するオファーが直接来たということなのだろう。

 もし他局で作っていた場合、これまでのキャストはもちろん、作品の主題歌として定着している中島みゆきの『銀の龍の背に乗って』も一新されると考えられるが……。

「それはそれで見てみたいというのもありましたね(笑)。原作のストックはまだまだありますし。なにより続編企画はフジテレビ局内で何度も会議で持ち上がっていたと聞いています。これまで新作が作られなかった理由は、前作や前々作が高視聴率だったため求められるハードルが高くなりすぎたからだそうです。企画する側にもプレッシャーがあったのでしょうね」

 さらに時代の変化も大きく影響したようだ。

「シーズン1・2が作られた時代と比べ、ドラマ界全体が予算縮小の流れで大規模なロケが難しくなったこともあるみたいです。『Dr.コトー』は離島に長期滞在しながらの撮影になりますから、撮影費が一般的なドラマより膨大になるようで。前作でも予算超過が多々あったと聞いています」

 それらの課題がクリアされ、満を持しての映画公開となったが、原作者の感想はというと─。

「先程話したとおり、地上波ドラマの際は自分は代理人を通していたので発言権もなく不完全燃焼だったところがありました。しかし今回は納得できるまで携わることができたので、自分的にはうれしいですよ!」

 著者自らお墨付きを与える作品になったようだが、今後『Dr.コトー』シリーズのさらなる展開はあるのだろうか。

「それはこれからのお楽しみということで(笑)。どうか期待していてください」

 フジテレビにも続編映画が企画された経緯について問い合わせたが、

映画製作の詳細についてはお答えしておりません」

 と、明言を避ける回答だった。

 16年ぶりの新作映画完成の裏には、思いがけない巡り合わせがあった─。