つまり、さまざまな体質が作用しての「やせの大食い」というわけだが─。このうち、トイレの回数の多さについては、もえあずなど他の人の検証でも紹介されたりしている。しかし、他の人だと「トイレはトイレでも、吐くために行くのでは」という声が上がりやすい。やはり、ギャル曽根だけは特別なのだ。

 これは彼女のキャラや生き方にもよるのだろう。

 食べ方もキレイだし、言動も自然で、結婚や出産も経験してきた。体形についても、年相応の変化はしている。22歳だった前出の本のころは、162センチ45キロと記されていて、まさにギャル体形だが、37歳の今はそれなりのアラフォー体形だ。

ギャル曽根の生き方

 そんな本人の普通っぽくて飾らない健康的な雰囲気が、ガチの「やせの大食い」という認定につながったのではないか。

ギャル曽根は高校卒業後に調理師免許、2010年には食育アドバイザーの資格を取得。太りぎみだった夫を15キロやせさせた実績もある
ギャル曽根は高校卒業後に調理師免許、2010年には食育アドバイザーの資格を取得。太りぎみだった夫を15キロやせさせた実績もある
【写真】「吐きダコ」と呼ばれる手のタコ、大食い系ユーチューバーなどの手にも……

 また、最近は彼女の母や姉、子どももテレビに登場して、大食いを披露。遺伝的要素もあることが示されている。

 だとしたら、彼女は奇跡の体質の持ち主ということに。一方、後天的に「やせの大食い」体質に変われたという人もいる。

 大食い番組で、女性では史上最強ともいわれた赤阪尊子だ。彼女は高校時代、ミニの女王・ツイッギーに憧れ、過激なダイエットを行い、159センチで31キロまでやせた。回復するまで4年もかかったが、その結果「いくら食べても太らない身体」になっていたという。

 病院では「胃の壁が普通の人の2倍ある」と言われたそうだが、史上最強レベルの大食いでも太らないことの理由にどう関係しているかは謎のままだ。

 そういう意味で、こちらも奇跡みたいなものだろう。筆者は摂食障害の女性を数多く見てきたが、たしかに闘病を経て、少食が身についてしまったり、消化吸収の機能が弱まったりする人はいる。ただ、赤阪のように普通の人の何倍も食べて太らないという体質に変わった人の話は他に聞くことがない。

 むしろ、ギャル曽根のほうがまだ参考にできるかもしれない。大食いなりに規則正しく、また、ちゃんとしたマナーでおいしく味わうという姿勢。子どものころから長距離走が得意だったというだけに、身体を動かすことも嫌いではないようだ。

 そして何より、メンタルの安定感だ。彼女は小倉優子と仲良しで、離婚問題でゴタゴタしているときも相談に乗ったという。それも週5日の長電話という、かなりヘビーなもの。ネガティブな話に付き合っても、引きずられてメンタルをやられたりしないところはさすがだ。

 前出の本では、ネットでの中傷についても、

《あんなの、いちいち気にしてもしかたないですよね。『わっはっは!』って笑っちゃう》

 と語っていた。

 この性格のおかげで長年、芸能界で活躍できているのだろうし、ストレスによる食の乱れとも無縁なのではないか。そこもおそらく「やせの大食い」の維持につながっているはずだ。

 太りやすい年末年始は、ギャル曽根レベルの安定メンタルで乗り切りたい。

加藤秀樹(かとう・ひでき)●中2で拒食症の存在を知り、以来、ダイエットと摂食障害についての考察、その当事者との交流をライフワークとしてきた。著書に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社)がある