「正社員ではありませんでしたが、昼はイベント設営の仕事、夜は送迎ドライバーの仕事を掛け持ち。いわゆる“社長の息子のボンボン”ではなくて、苦労しながらも自分で生計を立てていました。お父さんが亡くなったあとは、ゲーム会社の役員を引き継いで、お父さんが持っていた不動産の管理もしていました。役員報酬もいくらかはもらっていたそうです。友人に数十万円単位でお金を貸していたこともありましたし、お金には困っていませんでした」

容疑者の自宅マンション前には空き瓶などのゴミ袋が並ぶ
容疑者の自宅マンション前には空き瓶などのゴミ袋が並ぶ
【写真】見た目で損するタイプだった容疑者が親友に見せた表情など

 だが、相続問題はたしかにあったという。

「親族と揉めていると相談を受けたことはありました。お父さんの遺言書に“遺産は母親には渡さず、子どもたちで管理するように”と書かれていたそうです。ただ、それにもきちんとした理由があって……」

精神的に不安定だった母親

 父親が懸念していたのが、被害者である母親・美恵さんのことだった。

「高校時代から、お母さんが精神的に不安定だと言っていました。気持ちにムラがあって、ヒステリックになることもあったそうです。潮理くんと一緒に出かけている時も、母親から“心配だから帰ってきて”と連絡が来て彼だけ帰ったことも。でも、潮理くんは家族をすごく大事にしていましたよ。実家をなかなか出られなかったのも、きょうだいふたりが実家を出て、寂しくなったお母さんを安心させるためでした」