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ー “女性たちの苦しみと救済” その作品性
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ー 『尊厳を踏みにじられてきた女たちの悲哀』を描くから

 2022年2月15日、作家集団GoRAが率いる完全新作オリジナルアニメーション『AYAKA ─あやか─』の公式HPにて鞍馬春秋役で出演予定だった声優・櫻井孝宏の降板が発表された。告知文には「諸般の事情」で変更になる旨が記されているが、後任の声優が決まっていない状態を見るに、急遽の決定であることが伺える。

 制作陣は「諸般の事情」と濁しているが、大御所声優である櫻井の度重なる降板の理由といえば、思い当たるのは直近の不倫騒動だろう。10年と長きにわたって交際した相手に対し、2018年に結婚したことを隠しながら関係を持っていたとして大炎上に見舞われている櫻井。

 2022年10月に前出の不倫関係を『文春オンライン』で報じられると、追い打ちをかけるように2023年1月18日に別の女性からの不倫告発がニュースに。なんと告発主は2006年から2021年までの15年間、交際期間にあったというのだ。そのため櫻井は少なくとも10年以上複数の女性と関係を持ち、3年ものあいだ既婚者であることを隠したまま“三股不倫”状態にあったということになる。この報道で大炎上を受けた櫻井、『AYAKA ─あやか─』への降板は今回の騒動が無関係であるはずがない。そして、もうひとつの作品も──。

“女性たちの苦しみと救済” その作品性

 2月28日、2023年公開とされていたアニメ映画『劇場版モノノ怪』も公開時期の延期を発表。櫻井が演じるはずだった主人公・薬売りのキャスト変更が併せて告知された。同作はテレビアニメ公開から15周年を記念して制作が発表され、クラウドファンディングで“応援プロジェクト”として約6000万円の資金調達に成功。ファンたちの思いを乗せて企画が進んでいたのだが、突然のメインキャスト変更となった。

目標金額の1000万円に対し、約6000万円もの支援が寄せられた(アニメ「モノノ怪」十五周年記念サイトより)
目標金額の1000万円に対し、約6000万円もの支援が寄せられた(アニメ「モノノ怪」十五周年記念サイトより)

 大事な主人公のキャストを変更することについて、制作を務める株式会社ツインエンジンは

《『劇場版モノノ怪』は舞台を大奥に移し、女性たちの苦しみと救済を描こうとしております。その作品性の観点からの決断となります》

 と説明。またこれに伴い、クラウドファンディングで支援したファンへの返金も申し出ている。クラウドファンディングページによれば、

《ご支援いただいた方の中には、キャストの降板によって、当初のお気持ちのまま応援できないと感じられる方もいらっしゃるかと存じます。そういった方に対しては、返金の対応をさせていただくことといたしました》

 とのこと。

 今回の『劇場版モノノ怪』は大奥を舞台に“女性たちの苦しみと救済”を描く予定だったというから、特に影響の大きさが懸念されたのだろう。劇場版はこれまで特報映像しか公開されていなかったが、意外な形で新情報が飛び出す形となった。