黒のボディに箔プリが施されていて華やかな1枚。切り絵の風合いが活かされているデザイン
黒のボディに箔プリが施されていて華やかな1枚。切り絵の風合いが活かされているデザイン
【写真】じいさまと豆太が暗闇で妖しく光る、蓄光塗料も使用されたクールな“もちT”

『モチモチの木』のTシャツがなぜここまでの人気になったのか。ファッションコーディネーターの中村康介さんは分析する。

ヒットしている要因は3つ考えられます。まず、ひとつには『モチモチの木』が中高年世代の“原風景”だということです。子どもたちに認知されているだけでなく、中高年層にも知られていることはヒットした大きな要因でしょう」(中村さん、以下同)

 SNSでも「懐かしい」と感じた中高年が反応しているように見受けられる。

レトロブームで若者に受け入れられた

「今また“ガチャガチャ”も流行しています。しかも、そのカプセルトイには『ジャポニカ学習帳』が小さいアクリルマスコットになっていたり、懐かしい文具が採用されています」

 1980年代に“キン消し”で人気となった“ガチャガチャ”も中高年世代の原風景。懐かしいと感じ、大人たちが購入している。ただ、それは中高年だけでなく、若い世代にも支持されている、と中村さんは見解を示す。

「昨今、若者の間ではレトロアイテムがブームです。例えばY2Kファッションもそうですね。今から約20年前の2000年ごろに流行したファッションで、“Year 2000”の略です(Kは1000を指す)。ミニスカートやルーズソックス、お腹を出すクロップ丈のトップスなど、アラフォー世代が若いころ実際にやっていた明朗快活なスタイルなども、今のZ世代の間で流行しています」

 そんな若者のレトロブームが『モチモチの木』がヒットした2つ目の理由だと言う。

ファッションや音楽もそうですが、イラストにしてもZ世代では昔のテイストが注目されています。YouTubeチャンネルのアニメコント『マリマリマリー』や、高橋留美子さんの『らんま1/2』、『ミスタードーナツ』の原田治さんのグッズなど、大人から見ればどこか懐かしいものが人気を博している。『モチモチの木』もその流れで若者から受け入れられていることは考えられます」