2人の命を無惨にも奪った斉藤容疑者は、同府門真市の賃貸一戸建て住宅で一人暮らしをしていた。ちょうど4年前の春に引っ越してきたようで、

「賃貸やからと思うが、町内会にも入ってへんし、近所づきあいもない。ここでは珍しいよ。中背でほっそりした男やけども、印象はよくないわな」(近所の住民)

 ときおり、夜になると、自宅のほうからサックスを演奏する音が聞こえていたという。

「うちの子どもが言うには、“あれはテナーサックスや”って。音楽が趣味なんやろうね」(同・住民)

近隣住民が容疑者のタクシーを利用しない理由

 ある住民は容疑者のタクシーを利用しようとしたが、

「2年前に頼んだんやけど、“近所の人は乗せないんです”ってあっさり断られてね。その話を近所の人にしたら、“そりゃあ、頼むほうがおかしいわよ”って。なんでも、容疑者はちょくちょくをぶつけていて、よく代を運転しとるって。つまり、以前から事故が多かったみたいやね」

 冒頭の上西さんは、こう指摘する。

「タクシー会社の運転手には、1年に2回の健康診断が義務づけられていて、1人でも受けなかったら会社自体が営業停止になるという厳しい行政処分がある。しかし、個人タクシーには健康管理に法的規制がないため、個人の判断にほぼ委ねられている」

 運転の当日、タクシー会社の管理者は運転手の体調をチェックして、運行の可否を決定するが、

「個人タクシーは管理者も自分自身なので、少々体調が悪くても、働かなければ稼げないので、ついつい運転してしまうということも……。今回のような悲惨な事故を減らすためにも、国交省は個人タクシーへの規制を厳しくするでしょう」(上西さん)

 被害者はもちろん、斉藤容疑者のような犯罪者を生まないためにも−−。