目次
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ー “曖昧さ”を味わう
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ー 愛は普遍的なテーマ

 誰もがいつかは訪れてみたいと憧れるルーヴル美術館。その珠玉のコレクションより“愛”をテーマに73作品を集めた『ルーヴル美術館展 愛を描く』が国立新美術館で始まった。

“曖昧さ”を味わう

 中でも18世紀フランス絵画の至宝とされるフラゴナールの『かんぬき』は26年ぶりの来日。

 舞台は寝室。女性を抱き寄せた男性が、ドアに“かんぬき”をかけようとしている。女性は恍惚感に浸って男性に身を委ねているようにも、身をそらして抵抗しているようにも見える。国立新美術館の主任研究員・宮島綾子さんはこう解説する。

「一義的には解釈できないような曖昧さをぜひ味わっていただきたいと思います。また前回の来日時は“リベルティナージュ”という当時の社会的背景についての研究が進んでいませんでした。上流階級の知的エリートの間で流行した、自由奔放な性的快楽の追求を肯定する動きです。その裏には人々のモラルを支配してきたキリスト教の権威への反発や批判精神があったと言われています。この絵が描かれた約10年後のフランス革命によって、人々の道徳観は劇的に変化し、このようなエロティックな場面を描かれることは非難されるようになっていきます」