愛は普遍的なテーマ

 さらには、フランス新古典主義の傑作と言われるジェラールの『アモルとプシュケ』も。ルーヴル美術館学芸員のソフィー・キャロンさんはこう解説。

「人間であるプシュケに、神であるアモル(=キューピッド)が恋をする神話をもとに描かれています。いくつかの悲劇を乗り越え、ふたりは結婚。幸福な結末を迎えるという意味で、神話の中でも珍しい話です。この作品の滑らかな肌の表現やプシュケがまとう薄衣の表現は、すばらしい技術です。ジェラールの才能が大いに発揮されています」

フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年。パリ、ルーヴル美術館Photo(C)RMN-aGrandPalais(museeduLouvre)/TonyQuerrec/distributedbyAMF-DNPartcom
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年。パリ、ルーヴル美術館Photo(C)RMN-aGrandPalais(museeduLouvre)/TonyQuerrec/distributedbyAMF-DNPartcom
【写真】国立新美術館で展示されているルーヴル美術館の珠玉のコレクションたち

 そんな魅惑の愛の作品の数々について、ルーヴル美術館総裁・館長のローランス・デ・カールさんはこう語る。

「愛というのはやはり普遍的なテーマですし、“愛とは何か?”という問いには多くの答えがあると思います。また愛において、情熱的でドラマチックなのは始まりと終わりで、中間にはあまり激しい動きがないのもひとつの姿かと思います。今回のコレクションをご堪能いただきながら、それぞれ“この作品にはどんな愛の物語があるのか?”と思いをめぐらせていただけましたら幸いです」

『ルーブル美術館展 愛を描く」
国立新美術館(企画展示室1E)にて。6月12日(月)まで。火曜休館。一般2100円など。※混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/love_louvre/