今年2月に発売されたご当地限定『からあげクン』 
今年2月に発売されたご当地限定『からあげクン』 
【写真】JAXAから宇宙日本食に認証された証拠写真

“とりあえずやってみよう”の精神で開発

 微に入り細を穿つこだわりがあるからこそ絶大な人気を誇る『からあげクン』だが、何といっても多種多様なフレーバーが登場することも魅力の要因だろう。なぜこれほどまでにバラエティーが豊かに?

お客さまに楽しんでいただきたいという気持ちが一番です。また、ローソンはチャレンジ精神を尊重する社風があります。私も幾度となくフレーバーの提案をしていますが、頭ごなしにダメと言われることはなく、“とりあえずやってみよう”の精神で開発しています。本社の社員だけではなく、エリアごとの社員から提案されることも少なくありません」

 例えば、今年2月には近畿エリアで『からあげクン 王将マジックパウダー味』、九州・沖縄エリアで『からあげクン うまかっちゃん味』などを発売。「『からあげクン』の特徴として他の企業さまとのコラボが多いことも挙げられると思います」と吉岡さんが説明するように、汎用性が高いことも人気を実現できるストロングポイントといえそうだ。

もちろん、中には商品化に至らなかったフレーバーもあります。例えば、チョコ味は試作品こそ作ったものの商品化されませんでした(苦笑)

 '13年には、『からあげクン』マニアの間では伝説化している北関東限定「ピーチ味」が発売され話題を集めたが、チョコ味も食べてみたかった……。

 一方で、こうした飽くなきチャレンジ精神があるからこそ誕生したのが、昨年に初めて販売された衣の中にソースを閉じ込めた「ソースinシリーズ」だ。第1弾として登場した「タルタルソース味」は、初週の売り上げが記録に残っている限りでは過去最高だそうだ。

「以前から、ファストフード店のチキンナゲットのようにソースをつけて食べたいという要望がありました。そこでディップする食べ方ではなく、はじめから中にソースが入っている新しい『からあげクン』を提案したいと思い、『ソースinシリーズ』は生まれました」

 恐る恐る週刊女性取材班もこんな要望を伝えてみた。「レギュラー、レッド、チーズがそれぞれ入った『からあげクン』を食べたいのですが……」。すると、吉岡さんは「アレルゲンの問題などで難しいんです」と申し訳なさそうに答えた上で、こう続ける。

「そういった要望が多いのも事実で、昨年は、衣はレギュラー、中はレッド&チーズの“1粒で3つの味が楽しめる”『3種のミックス味』を発売しました。もしかしたら再登場するかもしれないので、その際はぜひお試しください」

 一つのパッケージにバラで入れるほうが簡単に思えるのだが、あえて「3種のミックス味」を作ってしまうあたり、ローソンの『からあげクン』への熱量たるやハンパではない。

 実は、今年は『からあげクン』にとって節目の年でもある。現在、パッケージに描かれる妖精『からあげクン』は、'03年の「チーズ」登場とともにお披露目された(それまでは育ての親だという「からあげおやじ」が描かれていた)。

 つまり、今年は『からあげクン』パッケージ化&定番「チーズ」の20周年。「チーズ」が成人した─ということで、「大人になったチーズ味」を4月4日に発売した。こういった遊び心があることも、ファンから愛されるゆえんだろう。

私は商品本部に10年ほどいるのですが、お客さまからのお叱りの言葉や要望をいただくことが少なくありません。ところが、『からあげクン』担当になって、お客さまからお褒めの言葉をいただく機会が増えました。

 小さいお子さまがイラストつきでお手紙を送ってくれたりするんですね。『からあげクン』は本当に皆さまから愛されている商品なんだと感じます。これからもお客さまにワクワクを提供できたらと思っています」

 ロングランには理由がある。“国民のおやつ”の『からあげクン』は、まだまだ進化中だ。