アイドルとキャスターの難しい線引き

 そのため『嵐ヘリウム事件』を茶化した櫻井や番組に対し、

《嵐ヘリウム事件、ヘリウムガス不足にキレてた医療関係者を知ってるから全然笑えない それを普通にTVでしゃべるのも自分にとっては不快》

《ヘリウムは医療や工業機器に使われてて代替不可能な上に現在の技術では生成不可能。人類の文明危機に繋がる危険がある そんなんライブで大量に使ったら怒られるて》

《嵐ヘリウム事件、話だけ聞いたら面白いんだけど、『ふざけんな』と言っている人たちに医療関係者が含まれているから、『あの気球が飛んだ裏で何人の人が死んだんだろう』と思ってしまってる》

 と、怒りの声もあがり、『嵐ヘリウム事件』がTwitterにてトレンド入りした。しかし、この状況に対し経済誌編集者はこう語る。

「嵐のコンサートがあった2012年当時の危機的供給不足は、供給元のヘリウム採掘施設の不具合に起因しており、ヘリウムは医療やハイテク産業に優先的に振り分けられたと言われています。

 また、日本産業・医療ガス協会の『ヘリウム 生産・販売実績』によると『バルーン・飛行船』は2012年以降、全体の3〜4%ほどなので“嵐のせいで他の業界がヘリウム不足になった”とは言えないでしょう」

 昨今のヘリウム不足はかなり深刻であり、現在のペースで消費されれば計算上では25年後ほどには枯渇するとも言われているようで、そこに、コロナ禍の物流問題や、ロシア・ウクライナ情勢など供給不足に追い打ちをかける事態が続いている。

 櫻井は『news zero』(日本テレビ系)などでキャスターとしても活動しているが、『嵐ヘリウム事件』を別番組でネタにするなど、現在も深刻なヘリウム不足に苦しむ人々がいるという現状を把握していなかったのだろうか。

「櫻井さんの報道にかける想いは非常に強く、率先して時事問題も勉強しているようです。正直、アイドル業やバラエティー業と比べると、キャスター業はギャラに見合わない仕事量だとも言われていますが、真摯に努力を続けている。『嵐ヘリウム事件』については、バラエティ番組のMCとして場を盛り上げようとしたのでしょう」(民放テレビ局関係者)

 アイドルとキャスターの二束のわらじは簡単ではないようだ。