本来は幼名の團子から猿之助、段四郎と名跡を上げる流れだったが、明治から昭和にかけて活躍した『二代目・猿之助』が大人気を博したことで、猿之助と段四郎が同列の扱いとなる。

現・猿之助さんは実父である『段四郎』を継ぐのが自然でしたが、猿翁さんの『三代目・猿之助』としての活躍は歌舞伎界でも抜きん出ていましたからね。段四郎さんも、兄のカリスマ性に押されるように脇役中心で活動を続けていました。そのため2012年に現・猿之助さんは『亀治郎』から『四代目・猿之助』を襲名したんです。実の息子が伯父の名を選んだことにショックを受けた段四郎さんは活動を縮小。2015年の『スーパー歌舞伎2 ワンピース』以降、舞台に立たなくなっていました」(前出・梨園関係者、以下同)

 この襲名を巡って、澤瀉屋全体でも軋轢が生まれた。

ファンの間でも猿之助の素行は有名

1月の初舞台で高い評価を得た二代目右近と父の右團次
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「それまで、猿翁の弟子で“リトル猿之助”とも呼ばれた実力十分の市川右近さんが『猿之助』を継承するのが既定路線でしたから、亀治郎さんの猿之助襲名は驚きだったのです。右近さんは2017年に『市川右團次』となり、澤瀉屋と距離を置くように。同じく澤瀉屋に所属していた喜多村緑郎さんや市川春猿さんなどベテラン勢も外に活動の場を変えるなど、それまで猿翁さんを支えてきた役者が離れていきました」

 反発を受けても、猿之助は意に介さず。ベテラン勢が抜けたことで、独自色を強めるようになっていく。

「猿之助さんは自分の気に入った役者を起用する傾向が顕著。新作歌舞伎の場では、歌舞伎役者ではない現代劇の役者もいい役で起用するんですよ。澤瀉屋の弟子からすれば面白くありませんが、トップの意向だから誰も文句を言えません」

 また、ファンの間でも猿之助の素行は話題になっていた。

「猿之助さんは後援会の集まりで“自分は結婚もしないし子どももつくらない”と宣言していましたね。ほかにも猿之助さんのお気に入りの役者がいい役につくと思ったら、急に舞台に出なくなったりと、私情で選んでいるのが露骨にわかりましたよ」(ファンの女性)

 活躍の裏で禍根を残した襲名や、私情を挟んだ配役起用など歪みが生まれていた澤瀉屋にとって、猿之助のスキャンダルは致命的だったのかもしれない。