ウォーキングは朝にやってはいけない

 運動にはタイミングも重要。朝散歩には健康的なイメージがあるが、中之条研究の結果ではおすすめできない。

「散歩を習慣化するのはいいことなのですが、朝起きてすぐは避けてください。特に危険なのは、起きて1時間以内。起床直後の私たちの身体は水分がカラカラ、血液がドロドロの状態。そんな状態で運動をしてしまうと、心疾患や脳卒中のリスクが高まります」

 青柳先生が推奨するのは、「夕散歩」だ。人間の体温は日中に体温が上がって、夕方がピークになり、そこから徐々に下がり、眠気を覚えるようになるという。

「散歩をして夕方に体温を上げると、就寝前にグッと降下し、熟睡しやすくなります。16〜18時の間に速歩きをすると、血液の巡りがよくなり、体温もアップしますよ」

 中之条研究でも就寝時の体温が起床時より0.5℃以上高くなった人は、不眠を解消できたという。

「加齢とともに最高体温と最低体温の差がなくなり、不眠に陥りやすい。免疫力も体温が1℃上がることで約60%アップし、逆に1℃下がると30〜40%ダウンするといわれるので、一石二鳥ですね」

 健康効果を確実に得るためには、まず2か月このウォーキングを続けてほしい。

「1日8000歩、うち速歩き20分の生活を続けると、長寿遺伝子にスイッチが入り、健康長寿の身体になれます。洗濯物を干したり、買い物に行ったりした歩数を含め、あくまでも生活の中で目指してください。台風などで外出できないときは、1週間トータルで達成できれば合格です」

 また、ダイエットが目的なら、速歩きは20分間連続でしたほうが効果的とのこと。とはいえ、自分の年齢や体力に応じて目標を見極めていこう。

「脚に痛みがあるような人は、命に関わる病気を予防できる1日5000歩、速歩き7・5分から。もう少し歩けそうな人は、がんや骨粗鬆症が予防できる1日7000歩、速歩き15分を実践してみてください。そこから歩数を少しずつ増やし、8000歩に増やせばいいのです」