節電効果の高い家電に買い替えを

特にエアコンや冷蔵庫は新製品と比べると電気代が大きく違ってくる。今は買い替えに補助金を出している自治体もあり、お得に買い替えるチャンスでもあります。

 例えば東京都では『東京ゼロエミポイント』を実施していて、最大で2万6千ポイントとかなりの額が戻ってくる。対象になるのは、エアコンと冷蔵庫、照明器具、給湯器。

 東京都に限らずほかにも実施している自治体があるので、そちらもあわせてお使いの家電を改めて見直してみては」(和田さん)

 前出の坂口さんも買い替え推奨派。自身の電機メーカー勤務の経験を踏まえ、

「企業もすごく努力していて、技術の進歩により節電能力が格段に上がっています。消費電力の差は激しく、昔のエアコンはもっと電気代が高かった。買い替えたとしても10年かからずモトが取れるし、逆にトクをするはず」

 と促す。環境省が運営するウェブサイト『しんきゅうさん』によると、現行のエアコンは10年前の製品と比べて電気代が10%削減される計算に。

 仮に1年間の電気代が10万円として、エアコン代はそのうち4割にあたる4万円。10年使い続けると、1年あたり4000円が浮く計算になる。これが20年前の機種ならさらに電気代の差は大きくなると考えられ、確かに10年で十分回収できそうだ。

 さらに『しんきゅうさん』には使用中のエアコンと購入を検討している機種の電気代比較サービスも用意されているので、ぜひチェックを。

 とはいえ電気代にかかわらず、「身体に悪い」とエアコンに拒否感を持つ層も。

「ウチの70代の親もそう(笑)。あの世代はなかなかつけないし、買い替えない。ローテクなエアコンのイメージがあり、実際いまだに数十年前の機種を使い続けている。新型エアコンに買い替えたほうが身体も守られる。

 自動で室温を調整してくれるし、身体に直接冷気が当たらないように調整してくれる。エアコンをつけないほうが身体に悪い」(坂口さん)

 気をつけたいのが買い替え時期。猛暑でエアコンの需要が急増し、入荷待ちが続いた例もある。これからの季節、エアコンや冷蔵庫が、ある日突然壊れてしまったら──。

「半導体不足の影響もあり、家電自体の流通量が少なくなっている。店で“このエアコンをください”と言ってもすぐ購入できるかわからない。

 納品を待たされる可能性もあり、エアコンの場合は工事が必要になるので、そこでさらに時間がかかることもある。壊れてから買い替えるのはリスクが大きい」(和田さん)

 この初夏は気温の上昇が続き、見直しも買い替えもより早めの対策が求められそうだ。

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 今回の電気料金値上げはあくまでも一般の家庭向け。企業のほうはどうなのだろう。

「企業は1kWhあたりいくらと電力会社と各社個別契約しています。私の知る企業はすでに値上げされていて、電気代の値上がりは中小企業の経営を逼迫させている。電気代が上がっているから供給品の納入代を上げさせてくれ、という交渉が企業間で日々行われていると聞く」(坂口さん)

 事実、トヨタ自動車は'22年度から仕入れ先のエネルギー費の一部負担をスタート。また今年4月には自動車メーカーのHondaが部品会社など取引先に対し、電気料金の一部を負担する方針を打ち出している。

 エネルギーの記録的高騰を受けての措置だというが、これが続けば消費者にしわ寄せがくるということも考えられる。

「ひとつの商品を製造したとき、売り上げの約1~2%が電気代。100円で物を売るとしたら、そのうちの1~2円が電気代ということになる。それが積もり積もって商品の価格に反映されることもあるでしょう」

 と坂口さん。実際のところ、エアコンなど家電製品はどうなのだろう。