詐欺犯人の巧妙な手口

 詐欺犯に多い手口として矢継ぎ早にLINEなどでメッセージを送り、相手を麻痺させていくという手法がある。陽子さんも出会って1日目だというのに、数分おきに交わされるLINEで、男を近い存在だと感じるように。

「3日目には最初の5万円を振り込んでいました。投資話を持ちかけられたんです」

 なぜ?と言いたくなるが、男性からは投資の手続きが完了すればデートができると持ちかけられたためだという。

「会えばどうにかなると思いました。その日までは相手の言うことを信じようと思ったんです。さらに生命保険のお金を解約するよう言われて、650万円を振り込んだんです」

 最初のコンタクトからわずか1週間以内の話である。大金を振り込んだ結果は……。

「私からこれ以上お金を引き出せないとわかったのか、急に“会えない”と言われて」

 気づいたらジェスのLINEアカウントは退会。連絡はとれない状態に。

「騙された私が悪いけれど、相手のことは許せない」

 と、傷は癒えないままだ。

 なぜこんなお粗末な詐欺にひっかかってしまうのか。前出の水谷さんは、

「パチンコの感覚に近いのかもしれません。負けてるけど引き返せない。損を認めたくないから、相手の要求どおりに振り込み続ければ、回収できると錯覚させられる。だから振り込んでしまうのです。私が取材した被害者も最高額で4600万円をわずか2週間で失っています」

 国際ロマンス詐欺を見抜く方法はあるのか。

「まず彼らは絶対に会おうとしません。やりとりの最中に第三者も必ず出てきます。あと彼らはボロが出るからか、電話でのコミュニケーションは極力とりたがらない。

 冷静になればおかしいことだらけですが、それでも被害者が生まれるのが国際ロマンス詐欺なんです」