目次
Page 1
ー 会見で作り上げた「妻を赦し、愛し続ける悲劇の夫」イメージ
Page 2
ー 広末の芸能界復帰が案外早い理由
Page 4
ー 広末は鳥羽氏と結婚しないほうが「ソンする不倫」
Page 5
ー 広末のオトコ選び、実は正解
世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第28回 鳥羽周作氏

 女優・広末涼子とフレンチレストランシェフ・鳥羽周作氏とのW不倫報道を受けて会見を開き、「自分の幸せは、自分の子ども達と自分の妻がいる家が一番幸せです」と涙を見せた夫のキャンドル・ジュン氏。心のきれいな人は「なんていい人」と思ったことでしょうが、その後「週刊女性」がキャンドル氏の元従業員男性への暴力や不倫を報じます。裏切られたと思う人もいるでしょうが、心のねじくれた私は「そういうこともあるだろうな」と思ったのでした。

 キャンドル氏にそういう二面性があると思っていたわけではなく、人の印象というのは“見せ方”で変えられることは、心理学が証明しています。キャンドル氏は平和を祈ってキャンドルをともすという活動をしていますが、一般常識でいうのなら、ろうそくを作って火をともしても、ビジネスになるとは考えづらい。にも関わらず、ビジネス化に成功し、芸能界のトップにいる女優と知りあうまでの人物になるのは「自分の見せ方」に長けていて、「この人はいい人だ」と周囲に思わせるのが、とてもうまいのだと思うのです。こう書くとけなしているようですが、「自分をよく見せる能力」は、自分の名前でビジネスをする人には必須です。

 具体例をあげてみましょう。会見で、キャンドル氏は「まず初めに、私の妻、広末涼子が多くの方々にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした」と深々と長いお辞儀をしてみせたのでした。「そして、相手方のご家族、親戚、ご友人関係者のみなさんにもご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした」と再度深々と頭を下げていました。そして感極まったのか、大きくため息をつくと「みなさんにお伝えしたいことの一番は、妻・広末涼子は育児放棄をしたことは今まで一度もありません。私にとってもよき妻ですし、何よりも子どもたちにとって最高の母であり、家族や親せきの中でも最も頑張るすてきな女性です」と述べました。

受付も自ら行うキャンドル・ジュン氏
受付も自ら行うキャンドル・ジュン氏

会見で作り上げた「妻を赦し、愛し続ける悲劇の夫」イメージ

 キャンドル氏は被害者ですから、広末を責めることだってできたはず。けれど、責めないどころかうちの広末世界一、完璧だとほめてみせ、涙すら浮かべていた。日本の男性は概して妻をほめませんから、いい印象を受けた人は多いのではないでしょうか。会見が始まってたった2分40秒で、キャンドル氏は「不貞を犯した妻を赦し、愛し続ける悲劇の夫」というイメージを作り上げたのです。この後に、広末の不倫は今回が初めてではなく示談にしたことがあると、子どもたちが知りたくない、もしくは広末の芸能人としてのイメージをさらに落とす大暴露をさらっとするわけですが、これも上手だなと言うしかない。キャンドル氏が会見をはじめてすぐに広末の過去の不倫を暴露したら、おそらく「こんなネチネチした夫だから、広末だって不倫したくなった」という意見も出てくるでしょう。しっかり、“いい人”の土台を作って暴露に及んだために世間も信用してくれたのでしょう。