人気アニメとのコラボも

 一方、1920年代から販売を続けるよーじやグループの『あぶらとり紙』は「100年ぶりの新パッケージ登場」で昨年話題に。手鏡に映る京女をデザインモチーフにしたおなじみの商品は修学旅行生や外国人観光客の定番みやげだが、売り上げはここ数年低下傾向。しかし昨年、新パッケージが仲間入りしたことで、

「あぶらとり紙関連商品全体の売り上げがアップしました」と、広報担当者は話す。

 複数の“レトロカルチャー”がミックスされ再ヒットを果たしたユニークな例が、銭湯でおなじみの黄色い『ケロリン桶』。『ケロリン』とはもともと鎮痛薬。昭和38年に、銭湯の風呂桶に広告を出したことがきっかけで『ケロリン桶』が誕生した。

毎年コラボ企画の打診があるという『ケロリン桶』。次はどんなグッズが出てくる? ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。
【写真】世代を超えて愛され続ける日用品たち

 一時期は目にする機会も減ったが、平成に一世を風靡した漫画『ケロロ軍曹』とのコラボ桶を平成25年に発売。それ以来アニメやゲームとのコラボが相次ぎ、若い層に『ケロリン桶』が一気に浸透した。

昭和レトロブームで銭湯文化が再注目されたことも、さらなる追い風になりました」

 と、発売元・富山めぐみ製薬の広報担当。業務用桶の需要は低下傾向だが、小売り販売が好調のため、全体の売り上げを維持しているという。

 新たな商品が生まれては消えゆくなか、時代の変化に抗わず生き残ってきた商品たち。長寿の秘訣は「ブーム」に一喜一憂しない、メーカーの粘り強い底力にあるようだ。


取材・文/植木淳子