恐怖の“妄想”ラブソング

「容疑者は別のパブで“××(被害女性のパブ店名)に入れてもらえないんだ”とそればっかりつぶやき、対応したホステスはクールダウンさせてあげたらしいです。気を取り直すとカラオケでラブソングを歌い、おとなしく飲んでセット料金の1時間きっかりで店を出て行った。飲むといっても、そもそも下戸なので水だけ。いい声で情感を込めて歌いあげたそうです。最後に“ありがとう。今日はお金がないのでこれで帰るけど、今度お金のあるときに来ていっぱい使うからね”と寂しく笑ったといいます」(同業のフィリピン人ホステス)

 容疑者は、黒いダブルのジャケットにワイドパンツという威圧感のある服装を好んだ。大柄で肩で風を切って歩く姿は“その筋”の人を連想させたが、接客したフィリピン人ホステスには「以前は入国管理局で警察みたいな仕事をしていた」とうそぶいていたという。

 不審な姿が頻繁に目撃されるようになったのは、5月の連休明け以降だ。

「昼や夕方過ぎに出禁店の周囲をウロウロ歩き回り、店の入り口を写真撮影していたこともあった」(目撃した男性)

 自身のSNSで意味深な文章も綴っている。

《この1年間人の事で悩み参りましたさすがの私も寝られず鬱、男女間の問題は深刻化し。殺人迄発展しかねないので関わらない方が良かったと今は後悔しています、》(原文ママ)

 近隣には女性が接客する飲食店が多く、フィリピンパブもほかに複数店舗が存在する。どうして執着したのか。

 SNSではこう自己紹介していた。

《気持ちが若いからまだ20歳の感覚で、見た目では流石に20歳とはいえませんが、45歳位とよく言われます。いまだに学生時代の気持ちでいます。(中略)私を知るフィリピーナ(※フィリピン人女性の意味)とやりとりしたいですね。ゆくゆくはアメリカかフィリピンに永住したい》

ホステス訪問に備え自宅ポストに英語表記も
ホステス訪問に備え自宅ポストに英語表記も
【写真】カメラ目線でポーズを決める容疑者

 妄想は現実とかけ離れるばかりだったが、老いらくの恋はだれにも止められないレベルに達していた。自宅ポストには、フィリピン人ホステスがいつ訪ねてきても自分の部屋がわかるように、名前のすぐ下に《mr mogami》とピリオドの抜けたアルファベット表記があった。