医療行為にもかかわらずセルフ施術もできる現実

 ハイフ(HIFU)は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略称。

 超音波を用いて、皮膚の下にある筋膜に熱を与えてぎゅっと収縮させることで、を内側から引き締める施術のこと。もともとはがん治療に使用される医療技術を美容医療に応用したものだ。

「ハイフはよく焼き肉に例えられます。肉を焼いたときに脂肪がギュッと縮んで全体が小さくなりますよね。脂肪が溶けてなくなるわけではありませんが、熱を与えて筋膜を焼いて縮ませる=引き締めているわけです。

 適切な層に照射すれば後遺症などの影響は起こらないのですが、皮膚や神経などの適切ではない場所に照射してしまうことでやけどや神経障害が生じる可能性があります」とはTCB 東京中央美容外科の特別指導医である、安本匠先生。

「医療従事者であれば解剖学の知識があり、主要な神経がどこを通っているかなどを理解しており、適切な場所に照射できます。しかし、エステサロンやセルフ施術では、医学的な知識がないまま使用されていることがあります。

 ネット通販では個人で購入できるハイフ機器も多数出回っていて、自己責任とはいえ注意が必要。消費者も事故や後遺症のリスク、危険性について正しく理解する必要があると感じます」(安本先生、以下同)

 消費者庁の調査結果によると、医療機関である美容クリニックで使用されている機器とエステサロンで使用されている機器には、照射した箇所の温度を上げる能力に明確な差は見られないと報告されており、施術者の技術次第では非常に危険だ。

 しかし、扱う機器自体の値段や、医師や看護師の人件費などの要素から、エステのほうが安価に施術でき、お手軽感がある。

「本来、ハイフは医療行為です。万が一ハイフによるトラブルが起こってしまった場合でも、美容医療クリニックであればすぐに医師による適切な対処を受けられます。手軽だから、インスタで見たから、という理由だけではなく、慎重に選ぶべきです」

こんな人はハイフじゃない!
□顔にあまり脂肪がない
□フェイスラインのたるみが少ない
□顔痩せをしたい
□皮膚がたるみすぎている
【ハイフはあくまでも“の引き締め”】