「老い」とは、人生の総決算

 脳梗塞を発症したあとの2021年には雑誌『婦人公論』で自身の“老いとの向き合い方”について語っている。50代、60代の頃と比べると、体調の浮き沈みも激しくなり、もとから抱えている慢性気管支炎の影響もあり、最近は数日単位で体調が変わるそうだが、

《けれど、「老い」は誰しも避けられないもの。受け入れるしかありません。(中略)ただ、老いて大樹になるか、朽ち果てるかは、人それぞれでしょう。何のために生きてきたのか。どう生きてきたのか。今までの人生の積み重ねが問われるのです。つまり「老い」とは、人生の総決算の時期と言ってもいいでしょう》

 そんな美輪の生きざまはしっかりと届く人には届いているようで、激変がネットで話題になったのと同時期にこのようなコメントも散見された。

「われわれも88歳まで生きることができたらわかるよ。むしろ矍鑠(かくしゃく)としていらっしゃるし、年齢にしては十分お若いほうだと思う」

「88歳になっても溢れ出るオーラ、すごいな。むしろ神化している」

「この方の若い頃のステージの立ち姿、整った目鼻立ち、美しくしなやかな手指振る舞い全て凛として美しく、気品がありました。人間年を重ねれば、容貌の衰えなど誰しもありますよ」

 美輪が積み重ねてきたものはあまりに高く──。