つらいときも洋服で気持ちを切り替える

 昔からおしゃれな柏木さんだったが、ファッションが注目されるようになったのはここ数年のことだ。

 長女でシンガー・ソングライターの大島花子さんからブログの開設をすすめられたのが10年前。最近はアメブロの閲覧数で女優部門1位になることも多い。

出かけない日でも、毎日コーディネートを考えて身支度する母を見てきて、その姿を誰にも見せないのはもったいないと思ったんです」と、柏木さんのSNSをサポートしている花子さんは話す。  

 2017年にはインスタグラムを開始。コーディネートを紹介しているうちにフォロワー数がどんどん増え、今では6万人を超えている。

 柏木さんはハイブランドからファストファッションまで自在に着こなし、今回の本でもスタイリストは一切使わず、すべて自前でコーディネートした。

 本を見てまず驚くのは、20代のときに着ていた服が、50年以上たった今でも着られることだ。

「私は慎重に買い物をし、気に入って買った洋服は捨てられないタイプ。体形が変わって着られなくなったら処分できるのでしょうが、昔からやせ型のままなんです。ウエディングドレスもとってあり、娘2人がそれぞれの結婚式で着てくれました」

 シンプルなニットにエルメスの華やかなスカーフを合わせるといった上品なコーディネートのほか、ジージャンやロゴニットといった若々しいファッションにも挑戦している。

「犬のお散歩に行くときは、アクティブな気分になれるお洋服を選んでいます。例えば雨の日は憂鬱になりがちですが、あえてパリッとしたお洋服を選んで、気分を変えることを意識しているんです。新聞の占い欄の“今日のラッキーカラー”もコーディネートの参考にしています(笑)」

眼鏡が洗練された印象に

 以前より洗練された印象になったと評判なのが、いつもかけている眼鏡だ。

「数年前に白内障の手術をしたので視力の面では眼鏡がいらなくなったのですが、度が入っていないダテ眼鏡を使っています。眼鏡をかけるとシワが隠れるので(笑)、外せなくなりました。今では30個くらい持っていて、フランスのラフォンというブランドのものが中心です」

 こんなにおしゃれな柏木さんだが、次女で俳優の舞坂ゆき子さんは「小さいころの母は喪服の印象しかない」と話す。事故後、柏木さんの喪服姿が繰り返しメディアで報道されたからだ。

 大きな悲しみに襲われた日々の中で、柏木さんの心を奮い立たせたのもファッションだった。

 事故の翌年、坂本さんが広島のテレビ局で担当していたクイズ番組の司会を柏木さんが引き継ぐことになった。癒えぬ悲しみと坂本さんの代わりという大役に、最初は「できません」と断った。しかし、番組スタッフから「広島は原爆のどん底から立ち直った。柏木さんにも立ち直っていただきたい」と言われ、心を動かされたという。これから、ひとりで子どもたちを育てていくためにも仕事をする必要があった。

「仕事復帰のために私が選んだお洋服はピンクのシャネル風スーツでした。お洋服を選んでいるうちに、ようやく自分を取り戻すことができました。おしゃれをすることで、少しずつ前を向いて歩いていく気持ちになれたのです」

 つらいときや悲しいときも、好きな洋服を着ると心を落ち着かせることができる。おしゃれをすることは、柏木さんの心の回復に役立った。