不便なシーンは?

 矯正率が下がっているものの、左手から右手へ変えさせようという例はまだあるそう。

「学校など教育の現場でも、まだありますね。例えば書道ですと、1クラス40人の中で左利きが1人となると、その子だけ特別扱いするわけにはいかないから、右手に変えさせられたという記事を最近でも見ます。東京書籍が発行している小学校の書写の教科書で、鉛筆を正しく持っている写真を、右利きと、左利きの両方載せていたりと、そういうものも出ていますが、まだ配慮が少ない感じですね」

 では、左利きだと生活のどういう場面で不便を感じることがあるのか?

「例えば銀行のATM。タッチパネルでも操作できますが、暗証番号を押すテンキーが金融機関によっては、まだ右側にあるので左利きは操作しづらいですね。あとは、駅の改札機の読み取り部も右側なので、うまく通れずもたついている人を見かけたりします」

 一方で、左利きの人向けの新たな商品も増えてきていると大路さん。

「左利き専門の文房具屋さんがあったり、インターネットでも昔より手軽に買えるようになってきました。100円ショップでも置かれるようになって、右端に0の目盛りがついていて、右から左に線を引くときに長さがわかりやすい定規などがあります。

 文房具店では、右利き、左利き両方の人が使えるハサミも売られるようになって、こういったアイテムが公共機関などに置かれるようになると利便性がさらに上がる。ユニバーサルデザインの道具が、もっと普及する世の中になるといいなと思います」

 右利きも左利きも住みやすい世の中になる日は、そう遠くないのかもしれない。